今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

はじまり 2

プロフィール画面がわたしの母です。

今よりちょっと若くて、まだきれいだった頃の母です。

 

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


~~ はじまり 2 ~~


※プライバシーに配慮して、内容はある程度変えています。





おばあちゃんが何を言ってるのか、わからない。

家族ぐるみの付き合いをもう、60年以上続けている家族より家族同然の叔父でした。

(こんなにあるなら少しもらっちゃろうか?)

そう言ったからと言って、悪意があるとは限らない。
世の中のおっさんたち、よくそういう冗談言ってるじゃないか。
叔父さん、言いそう。

でも、いくら親族でも拾った通帳の中身を見るという行動は、想像しづらいものがありました。

「私…私ぞっとしてね」
「いやちょっと待ってお母さん。けいちゃんて、叔父さんでしょ?」

私が落ち着く必要がありました。

どちらにしてもこういうことは、慎重に慎重を重ねて、ゆっくりほぐすようにしていかなければいけない。
何十年もの仲を壊すような、大変な事態になってしまう、そう思いました。

とりあえず私は、
「そうなんだ・ふーん・そっかそれは大変だね」
という当たり障りのない相槌のようなものを打つことでその場をしのぎました。

そしてその合間に、
「どういうことでそんなことになったの?」
「いつだったの?」
などと、さぐりを入れながら、なるべくどちらの味方にもならず、責めることもないよう会話するようにつとめました。


電話を切った後、私の手は震えていました。
何か大変なことが起きていることだけはわかりました。

とにかく、母と私は本当に遠方なので、移動はおおごとです。
しかも私は仕事をしており。子供は中学生と小学校、夫のオムレット君は家事には協力的ないい夫ですが、激務でとても数日休むなどということはできません。

どうしよう、どうしよう。どうしよう。

わたしが最初にとった行動は、今の出来事をすべて書きとめることでした。
それしか出来ませんでした。

 


→→ はじまり 3 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次