家でなくなった家 ４
この暴走車を運転していた人は87歳。
うちのおばあちゃんより年上です…！！
しかし、記憶もしっかりされてるお年よりの方もいらっしゃることですし…。
一概に言えないとは思うのですが、日々おばあちゃんを見ている身としては、運転なんてとても出来そうにありません。
田舎そだちなので、車がないとやっていけない気持ち、とてもよくわかります。
おじちゃんのことがちょっと頭をよぎりました。
電話ではとても元気にされてるのですが。
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～～ 家でなくなった家 ４ ～～
２２日、土曜日。３日間の猶予のうちの、１日目です。
一晩寝ると、腹が決まっていました。
朝から片付け開始です。
顔を洗おうと、洗面所に入ってみて、ぎょっとしました。
箱型の洗濯洗剤が横倒しになっており、中身が大量にこぼれて床に散らばっていました。
気付いていないのか、忘れてしまったのか…。
とりあえず後回しにして、まずはキッチンからです。
長期、家を空けるのに備えて、目に付く不要物はすべて捨てました。
冷蔵庫をまっさきに空にしました。
生ゴミが一番不安でした。
今までなら遠慮していた古い食材系もバンバン捨てました。
調味料のびんも中をあけ、洗い、分別していきます。
業者さんを頼んで一気にやってもらった方がいいのかもしれません。
しかし幸い、ゴミ屋敷とまではまだなっていませんでした。
査定を入れないといけませんし、見積もりもあります。おかねもかかります。
何より、体を動かしていたいと思いました。
大量に買われたミネラルウォーターのペットボトルが消費期限切れを何年も過ぎていました。
（水に消費期限があることを、このとき、はじめて知りました）
缶詰もたくさん消費期限切れになっています。
次に手をつけたのは、膨大な量の新聞、チラシ、読み捨てられた雑誌などです。
母は、リビングのテレビに向けて座っていましたが、この片付けに参加しようとはしません。
「お母さん、紐はどこかな？」
声をかけると、教えてくれました。
（そこは覚えてるんだ…）
記憶のありかが定かでありません。
私が来たことは、覚えているし、自然に受け入れています。
「はっ！？あんた、なんでここにいるの！？」
ということは起きないのです。
捨てるものがある場所も教えてくれるし、自分でもなんとかしなければならないと思っていたのではないか？という気配もありました。
通帳に対する態度だけは、本当におかしいです。
一時間に一回ほど、ありかを確かめようとします。
そのたびに、位置がコロコロ変わります。
黒い丸い缶に入れる→かばんに入れる→机に並べる
この繰り返しでした。
頻繁に位置が変わるため、探すたびに、ない、ない、と言って顔色が変わります。
「位置を変えたらダメだよ。ここに決めよう」
本棚ではダメなのかと思い、一番目につく机の上に置いてみましたが、次に見た時にはまた本棚に入っていました。
→→ 大掃除 １ に続く
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