幽霊 2
大島で、袖にとまってきたはちです。
今、検索してみると…
ひげながはなばち、という種類なのかな…?
おとなしく、ぐるっと袖をひとめぐりしてから飛んでいきました。
三原山のふもと付近でのことでした。
メイクだけでなく、ニキビの元まで落とす「クレンジングリキッド AC」
~~ 幽霊 2 ~~
「いや、お母さん、男の子はいないよ」
そう言いながらも、気配がするような気がしてぞっと背中が総毛立ちます。
霊感ゼロと自負していますが、この家で何度か金縛りにかかったことはあります。
(関東に来てからは一度もありません!)
あの時、どうしても体が動かなくて、誰かが私をのぞき込んでいるような気配がしていたな…。
完全に忘れていたはずなのに。
思い出してはダメだ。
こんな状態の家で、こんなときに。
ここの隣に、父が亡くなったベッドがあったこと…も、考えてはダメだ!
これはいけない。考えたらいけない。
そう思いました。
周りを見てはいけない。別のことを考えないと。
金縛りは学生の時と、二十代の時とに何回かありましたが、学生のときに集中力を高めるためにもいいからと、般若心経を暗記したことがありました。
(ウチの宗派は浄土のつく超メジャー仏教です)
こんな時には本当にいいものです!
今でもけっこう覚えていました。
かんじざいぼさつぎょうじんはんにゃはらみたじ…しょうけんごうおんかいくう…どいっさいくやく…
お父さん、お母さんを連れていかせてください!
でもお父さんは邪魔するはずない!!
お母さんは行った方がいい。
お父さんならわかってるはず!!
母は、ずっと黙っています。
無理矢理に意識を他に向けようとしてはっと、思いつきました。
「そうだ、お母さん、くるみくんのことを思い出したんじゃない!?」
「くるみ?くるみって、あんたの子?」
「そうそう」
母はちょっと考える風でしたが、
「そういえばあの子おらんね」
と言いました。
「そうそう、小さい時に家じゅうはねまわってドタバタしてたじゃない。オムそばちゃんを連れてきて、そのころのことを思い出したんだよ、きっと!!」
無理矢理に声を大きくして言っている自分の声だけが浮き上がっていて、我ながら不気味でした。
思い出したのかな?話を合わせただけ?
「まあとりあえずお母さん、寝た方がいいよ。こっちも寝るから」
すると母は、まだしばらく部屋を眺めていましたが、背中を向けました。
降りるのを見届ける気にはなれませんでした。
ドアに近づくのも恐ろしい。
「ドアしめて~、お母さんお願い!!」
と声をかけました。他力本願です。
降りる時は、ぎし、ぎし、と階段が大きく鳴っているのが聞こえました。
母がいなくなるとそれはそれでまた怖いものがありました。
シーンとした室内の沈黙が痛いぐらいです。ざざざ、と鳴る裏山の木々の音にびくっとします。
これは…オムそばちゃんがいなかったら私、このまま家を出てホテルを探していたかもしれない…。
ふとんをめくってみると、ぶるぶる震えながらオムそばちゃんが泣いていました。
「怖い…怖い。おばあちゃん怖い…」
→→ 幽霊 3 に続く