錯乱 4
オムレットくんがトマトの苗を前に、難しい顔をしていました。
どうしたのーとか声はかけなかったのですが、難しい顔のまま園芸ばさみを持ってあれこれしています。
あとでやってきて、深刻な顔をして言いました。
「…トマト斑点病だと思う😣」
「あらまあ、さようですか…」
「かび、細菌の一種で、高温多湿がアウトなんだって。なのでしばらく水やりをひかえます」
もう実もついているのに、どうなることやらです。
最近は異常気象続き、トマトもとまどっているのでしょうか。
(トマトだけに。とかいうしゃれではありません)
しかし深刻な顔をするな~。
小さなプランターですが、野菜に対する思い入れを感じました。
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~~ 錯乱 4 ~~
オムそばちゃんが
「どうするの?」
と、後ろからたずねました。
おばあちゃんどうするの、とは聞きませんでした。
これからどうするの?という聞き方でした。
おうちに帰りたそうだな、オムそばちゃんは…。
それにしても暑い。
その日はかんかん照りでした。オムそばちゃんが熱中症にならないように気をつけないと、と思ったその時に我に返って突然心配になりました。
母も熱中症になるかもしれない。
それにどれだけ悪態をついて元気に見えても、昨夜転倒したばかりです。
走って戻りましたが、母の姿がありません。
ヤバい。
いくら知っている場所とはいえ、ここからタクシーなりバスなりで帰れる状態とは思えない。来れないから、あの時もおじちゃんにわざわざ付いてきてもらったのですから。
このあたりの田舎のバス路線は複雑です。
タクシーも、ショッピングモールの方にあるので、こちらからでなければ乗れないはず。
この暑さ、転倒したばかり、記憶も定かでない。
「もう信じられない!どこに行っちゃったの!?」
自分が置き去りにしたくせに、泣いて叫びながら探しました。
人通りがまったくないのが幸いといえば幸いでした。
オムそばちゃんがついてきます。
いつも半泣きでぐずったりするのに、この時はずっと辛抱強く、ただ付いてきてくれました。
「いたー!!いたよ!!ママ!!」
オムそばちゃんが見つけました。
郵便局の裏に、市役所の分局につながる道がありました。
「もう、お母さん!!!どこに行ったかと思った」
「………」
母はまだ、だまされた、しまったと繰り返していましたが、日陰に行こうと言うと素直についてきます。
母を連れて、近くのショッピングモールに入りました。入ってちょっと歩くと、スタバが目に付きました。
ここにもスタバ入っているのかと思いました。
「スタバ入ろうか。お母さんいい?」
「?…何でもいいよ」
母がコーヒーが大好きなことを思い出しました。
座るとぐったりと疲れが出ます。
仕方ないか。
無理だったんだ。やっぱり。
私も急ぎすぎた。
全部数日のうちに終わらせるなんて、うまくいくはずない。
何かを焦らせている、と母も感じたし、それがお金に関わることであるのが泥棒、という言葉につながったんだろうな。
母が、一口コーヒーを飲んでカップを置くと私に聞きました。
「あたし今どうかした?」
落ち着いてしっかりした声でした。
「えっ?」
正気に戻った!?
→→ 錯乱 5 に続く
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