様子伺い 4
オムレットくん、コストコの分厚い豚肉を見て串カツが食べたくなったようでした。
串を準備して濡らしています。
大変そうだけど大丈夫なのかな~!?
うちの油なべはそんな深鍋ではないんだけど…。
こんなとき、私は料理研究家のアシスタントみたいに横で黙って待機しています。
小麦粉、パン粉まで用意した時に、オムレットくんもさすがに大変そうだと気が付いたみたいでした。
「この付け合せのつもりのなすとあわせて味噌いためにしちゃっていいかな?」
どーぞどーぞ!
私もその方がいいと思ってました^^
しかし私は、こういう方向転換がとても苦手です!
ぱっと料理を思いつかないのです。
~~ 様子伺い 4 ~~
こうした押し問答が続きましたが、母も次第になじんでくる気配も見せています。
何よりも所長さんのご尽力が本当に大きかったです。
この所長さんは母だけではなくて、すべての入居者さんに慕われていました。
うちだけ贔屓というわけではなくて、全員に平等に丁寧で親切でした。
自分からいつも積極的に皆さんに話しかけ、皆さんの状況を把握しておられました。
介護士さんたちにすべて任せようとせず、大部分を自分でされていました。
職員さんがたも皆感じがよく、生き生きとしています。
MRIを取りましたが、そこまでの脳の萎縮はやはり見られないようです。
地元で見ていただいたレントゲンの結果と同じでした。
やはり、ちょっとうつっぽくなっていたのかなあ...。
母にとっては、抵抗はありましたが
「薬の管理」「食事の用意」「病院の付き添い」
この三つの心配がなくなった事が、前よりは心の負担を軽くしているようではあります。
予想外に頓服のお薬が頼りになりました。
調子がいいときは、皆さんが母に気を使うことに腹を立てています。
「風邪気味だから娘が病院に連れて行くと言っているのに、どうするのかああするのか、何時に帰るのか本当にうるさい!ここにちゃんと帰って来るって言ってるだろバカ!という感じやわ。あんな風にされると、余計帰りたくなくなる」
「それは、大騒ぎを起こしたから仕方ないんじゃないかな…」
「だって環境が激変したんだから、そのくらい当たり前よ!」
ううむ、論破された。
調子が悪いときは朝の6時から電話です
「指輪を盗まれた!眠っている間に指から抜かれたのでもうびっくり。何もかも盗られた。もうこんな所にいられないから帰る!もう、もう勘弁して~!」
興奮はしていますが、イライラや怒りというよりは、不安とドキドキという感じです。
「うん、うん、わかった」
と対応していると、
「あんたちゃんと話を聞いてる!?」
と怒られて電話を切られました。
母はどうも、朝に不安が強くなるようです。
以前、うちから飛び出した時も夜の3時頃から荷造りをし、朝の5時頃に出て行きました。
夜~早朝が危険な時間帯です。
これは人事のように言いますが、見るほうが本当に大変です。
それと、性格的に認知症対応としてよく言われるその場しのぎのごまかしがきかないのです。
嘘にはめちゃくちゃ敏感です。
せっかちで待てないので、その場で早急な対応を求められます。
全てがうっすらとした記憶はあるのですが、もやにかかったようにはっきりとした確信が持てなく、確認しつつ手探りで進む感じがあります。
付き添いなしでの病院はもう全く無理だなと思いました。
大きめのテレビを購入しに行くと言うと、一瞬顔をゆがめて
「ああ、そうなるのか」
とつぶやきました。
すぐにいやなんでもないよと紛らわせましたが、こちらで暮らす環境が着々と整っていて、戻れない事実を一瞬だけでも理解したようで、悲しそうでした。
→→ 様子伺い 5 に続く