母と格闘 1
母は、寝転んだままでじーっとこっちを見ています。
お着替えはしてるのですが、起きる力もないほど弱ってるのだろうか。
「ご飯、食べてないの?」
と聞きました。
母はまだ、顔をしかめたままじーっと見ています。
あまり嬉しそうでもないです。
そして、弱っているという顔でもないです…。
いつもなら何事か反応があるのに、嬉しそうでもなく、不愉快とまではないけど、何ともいえない顔をしていました。
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私には、母が
「ここまでしないと来ないのかこいつは」
と言いたい風に見えました。(被害妄想です)
直球でご飯食べてないの、と聞いてみたものの、反応もないし顔はしかめてるしなので、とりあえず座ってみます。
私はそのとき、お昼がまだだったので、サンドイッチを取り出しました。
「ご飯まだなので食べるね」
などとごまかすように言いながら、あれこれ出してみました。
人が食べているの見たら、食べたい気持ちになるかな…と思ったのですが、反応がほとんどないです。
それでも何か言いたそうではあるし、何より顔つきに力があります。
まずは、起きないか?とすすめてみました。
母は、すごくいやいや起きました。
不愉快そうに私のサンドイッチを見ています。
ルイボスティーのあたたかいお茶をすすめてみましたが、苦い嫌な顔をしています。
「私、そういうのって一番嫌い!」
とか言われてしまいました。むかっとします。せっかく入れてきたのに!
しかしまあ、母にはわかるはずもないので、仕方なく自分の食事をしようとはじめました。
母は、顔はしかめてますが、私のことは完全に認識してます。
あんた来たんね。とか何とか、ぼそぼそ話しています。
サンドイッチは美味しいのですが…。
何とも、居心地の悪い雰囲気でした。
顔をしかめてイヤそうな母の前だと、食事がおいしくないです。
砂を食べてるみたいでした。
何をすすめても、ものすごくイヤそうな顔で拒否されます。断固・拒否!です。
何というか…。
母は、非常に感情表現が豊かな人間なので、これが機嫌がよくて目をキラキラさせながらニコニコしていると、何も知らない人もちょっと嬉しくなってしまうような所があります。
その反面、イヤな顔も、必要以上に周囲をイヤな気分にさせてしまうような影響力があります。
一番嫌い、というのも
「いっっっちばん、きっらい!」
という風に力をこめて吐き捨てるように言います。
ほんとうにイヤそうなのです!!
ムカつくほど的確に、「イヤである」という意志を表現できます。
絶対に食べない。飲まない。食べたくもないし飲みたくもない。
こんなにも一番やりたくないことを無理にさせる。
そんな顔してます。
私も腹が立ってきました。
長年、こういう感じだったなあ!
ほんとに。魅力的で感情豊かで、人を引きつけるのと同じぐらい、人をムカつかせることに関しても天才的だったなあ!
こうして、みんなを困らせて、私を困らせて、結局注目を浴びたい、気を引こうとしてるだけのわがままじゃないか!
すごい顔して、食べ物を敵みたいな顔で見ている母が、体も小さくなっていて、なんだか小さい頃の私と母が逆転したような気がしました。
絶対に言うことなんて聞くものかと思ってる時のオムそばちゃんみたいです。
(オムそばちゃんはそこの所が割とマイルドで、こんなものすごい憎たらしさはないですが…)
おかゆを出してみたり、実家の器を出してみたりしましたが、一切受け付けません。
物凄い強さでぎゅうっと口を閉じて唇をひっこませてしまいました。
別に無理に突っ込もうとしてるわけじゃないんだから、そんな顔しなくてもよくない!?
オムレットくんが撮った、夜の夜中のクワガタの写真です。