今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

様子伺い 1

 

news.yahoo.co.jp

 

阿川佐和子さんの記事を読むと、母とかぶっている所もあれば、やはり違うな~と思う所もあります。

 

きっと個性と同じで、ひとりひとり違うものなのでしょうね。

 

ねむねむアニマルズ

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 様子伺い 1 ~~

 

 

これがお薬を使った最初です。

 

ギャンギャンお互いに電話でやりあったあとに、迎えに行きました。
また病院通いです。
母は以前、癌を患っており、甲状腺を摘出しているのでお薬が必要です。
総合病院に予約をしていました。

 

部屋に入ると、不機嫌な様子でぎょろっとにらみつけられました。
それほどおとなしくなっている様子はないです。

 

「ふらふらして足元がおぼつかなくなる」とネットで読んだ副作用の欄には書かれていましたが、特にそういう様子もありません。
しっかり歩いていました。

 

軽いイライラ状態はずっと続いていました。
一時間ほど経った頃でしょうか。
病院で待っている時に、「口が渇くわ」と訴えます。

 

お薬で口が渇く感じは、きっと気持ちが悪いだろうなあ。
お茶を買ってきました。

 

およそ一時間後、母はすっかり落ち着きました。
しきりに眠いと訴え、少し朦朧としているように見えます。
これがお薬の効果なのでしょうか?

 

しかし、落ち着かなさはやはりあります。
トイレに行っては戻って、出ないと訴えます。
足つきはしっかりしている。

 

この「向精神薬」がどれほどきくものなのか、ず~っと凝視してしまいます。

 

この病院は、ものすごく長く待つことで有名な病院でした。
この日も検査を含めて5時間ぐらい待ちました。
病院のレストランで食べ、漢方も飲みました。

 

「あのねちょっと聞きたいんだけど…」
ずっと気になっていたことを聞いてみました。


「お母さんここにどうやって来たか覚えてる?」

「覚えてるに決まってるわ。黒い男三人に車で連れて来られたんよ」
「黒い三人の男ってだれ?」
「それはわからん。あんたの所に来い来いって言うからこりゃ大変と思って乗ったんよね。それがしまったんやわ!あ~しまった!
「でもここには、新幹線に乗ってきたじゃない?来る前にクラブのお友達とお話したでしょ」
「知らん。会わん。話してない」

 

う~~~~む。
そこからは突き詰めることはやめました。

 

このあたりは、別に朦朧としていたり眠そうだったりという姿はなくて、普通に過ごしていました。
最近の緊張がとけて、つかの間のおだやかな時間でした。

 

この「黒い男」のことで一つ思いだせるのは、最初に見学に行った施設から次の施設に移動した時のことです。

 

割と狭い車で送ってもらったのですが、スーツ姿の所長さん二人とわたし、母で乗りました。
三人ではありません。でも車に乗って男性がいたのはその時だけです。

 

所長さんがたが、何くれとなく話しかけてくれたのですが、その時の記憶が強烈に焼きついているのではないのかなあ…?

 

しかし、真相はわかりません。
精神科の病院の先生は、これはレピー型の見えないものが見える症状や、せん妄とは明らかに違うと言われていました。

 

薬局で母はやはり、思い出したようにカッとなりました。
「管理されているのが嫌なんよね。自由がないでしょ。好きなようにやりたいの。こんな我慢はひどい。絶対に許せない。こんな生活はもう嫌!あそこにはもう戻らん!」

 

う~~~~~ん。
変化があるような、ないような。
効いているような、いないような。

 

よくわからない…。

 

 

→→ 様子伺い 2 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


どうぶつまんじゅう わんこ

 

 

病院 5

私のお休みは今日までなので、明日から出勤です!
とても気が重いです!!!

 

せめて今日は、たらふく食べて寝ようと思います。
またいつもの日々がはじまります。
 

 

さようなら~お盆休み💔

 (この絵文字の使いどころがわからなかったのですけどやっと使えました)

 

 

シャチハタ シルエット猫柄

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 病院 5 ~~

 

 

ホームに近付いているというのに、母はものすごく固いにぎりこぶしを作って薬を離しません。
指をほどいてみようとしましたが、とても無理です。

 

そうだ!
思いついて、ホームに戻る前に買い物に行きました。
荷物は置いて行こうと話します。
「必要ないから!置いていかないとなくしちゃうよ!」
母は薬をいやいや離しました。

 

母が降りたすきに、薬を自分のカバンにさっと入れて隠しました。
まるで詐欺師かスリか何かになったような気分です!

 

お薬はやっとホームの人に渡すことができました。

 

 

しかしこのお薬も、まったくきかない人ときく人がいるといいます。

 

ちょうど応対してくれた介護士さんに、リスペリドンの処方のことを話しました。
このかたのご両親も認知症だったようですが、この薬はまったくきかなかったといいます。
「0.5mgでしょう?量も少ないですしね。」

 

人によってきくきかないの幅はずいぶんあるようです。
「様子を見るしかないですね」
と言われました。

 

今日に限っては、飲むほどのことはないようです。
部屋に私も入り、母が出してしまった荷物を頑張ってまた片付けました。

 

 

 

 

翌日も病院があります。
集中させて二日間、休みを取っていました。

 

朝早くに母から電話があります。
「薬取ったでしょ!!薬を取り戻して!こんな事されるなんて。あんまりひどいわ!あんたひどい!

 

う~~~ん。気付かれた。

 

しかし今は薬に気を取られて、キャッシュカードのことは忘れているみたいです。
ず~っと、くすり!くすり!と繰り返していました。

 

「そりゃあお母さん、私がとったのも悪かったけど、預けることになってるんだから仕方ないでしょ」
「今まで何十年、自分で薬を管理してきたと思ってるの!?人に管理されるなんて許せない!!本当に嫌!!!」
「渡してもなくしちゃうでしょ?正しく服用しないと駄目なんだよ」
「できるって!!!取り戻して!こんなのひどい!!」

 

まさかと思うけど、薬をあんなに握り締めてたのは、持って帰るつもりだったからなんじゃないのかな…。

 

ホームに電話、至急、頓服を服用させてもらいました。

 

これが最初の頓服です。

 

お願いした直後に、また母から電話がありました。

 

「あんた何を言った!?今、娘さんから電話があったので飲め飲めって言われて飲んだけど、そんな気を使う必要はない!余計な事はしないで。余計なお世話!」

 

興奮を抑えるために投薬しているのを、感づいているのかもしれません。
本当はこっちだって、お薬なんて使いたくないのに…。
この攻防は本当に疲れましたが、薬の効果がどうなるか気になりました。

 

 

→→ 様子伺い 1 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


お部屋で燻製 けむらん亭

 

 

病院 4

いったい私たちがボケてしまった時には、どんな生活になるんだろう…
 

www.dailyshincho.jp

おばあちゃんの介護を通じて、そんなことを、オムレットくんも私も考えているのを感じます。
何より年金問題は本当にただ事ではありません!!

 

 

うさぎポーチ

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 病院 4 ~~

 

 

先生に話を伺うあいだ、母は外で待っていてもらいました。

 

「テストの結果はずいぶんな高得点でしたね~」
「はい、あれはもしかして認知症ではないんでしょうか!?」

 

先生から、詳しくお話を聞きました。

 

認知症の種類と傾向、どういった病気なのか。

 

そして、認知症の介護を一番難しくしている最大の問題は、こういった記憶のことや点数よりも、「周辺症状」である、とうかがいました。

 

例えば母はまだ、記憶についてはしっかりしている部分もある。
けれど、認知の問題はやはり起きている。

 

認知とは、「自分が出来なくなっている事に対する認知することができない」であったり、「一人では暮らせなくなっていることを認知することができない」という所も含まれる。

 

だからやはり、(高得点ではあっても)「認知症」ではある。
「周辺症状」(徘徊、暴言など)によって、まわりのかたが困ってしまうことが一番の問題である。

 

……ということなのだそうです。

 

母はその「周辺症状」が強く出ている状態であると思われるとのことです。

 

軽度アルツハイマー認知症という診断です。
お薬を処方してもらいました。

 

ここで処方されたのは、ツムラ54(ヨクカンサン)と、頓服のリスペリドンです。
ヨクカンサンはおだやかな気持ちになる漢方とのこと。
一方でリスペリドンは向精神薬の処方です。
ドーパミンをおさえるお薬ですとのことで、一錠をさらに半分にした0.5mgです。

 

「これは、周辺症状に困っているご家族に出すことがあるお薬です。ですが、服用量が最低であり、とても少ないので効くかどうかは飲んでみなければわかりません。これで落ち着いてくれると良いのですが…」

 

あとで調べてみると、あまり印象はよくありません。
(最近の漫画などでも、興奮をおさえるために経口投与していたりする描写がありました)

 

ドーパミンを抑える。
そう考えてみれば、母はいかにも常日頃からアドレナリンの量が多いんだろうなという行動パターンです。
社交的で外にガンガン出て行きますし、実にアグレッシブです。

 

「ほんの少量なので、副作用等もほとんど影響はないと思います」
とお医者さんは言っていました。

 

確かに母は少しはドーパミンを抑えてもらったたほうがいいのかもしれない。

 

 

この日は、別で予約していた病院に行ったりして、病院三昧の一日になりました。
母は病院が好きなのでとても機嫌が良いです。
ニコニコしています。
私にしがみつきながら
「ああよかった、これで帰れるね!」
と言います。
「……………」

 

先生とよくお話したことで、地元で周囲との関係に不協和音が響いていたことなどを思い出したようです。

 

「ここの人たちは飾らない、人慣れしたいい人たちやわ。田舎の人は自分を必要以上によく見せようとする。変に見栄を張るからね!こちらの方が付き合いやすいわ」
などと言います。

 

あんなによくしてくれた方々にはとんでもない風評被害です。
が、実は地元の人たちの性質よりも、この「関東地方の田舎」あたりの人たちの方が、母の性格にはあっていて付き合いやすいのは以前からそうじゃないかな~と思っていました。

 

帰る帰るさえなければなぁ…。

 

記憶はやはり途切れるようです。
ここはどこだったか、何をしているのか、これからどうするのか。
何度も確認しています。
疲れもあるのか午前中に受診した時よりも朦朧となっていました。
(まだ頓服のお薬は飲んでいません)

 

食事後、施設に戻る道のりで、また少し奇妙な感じになりました。
顔がこわばって固くなり、お薬を握り締めて離しません。

 

「ホームに預けよう?管理してくれることになってるから」
絶対に嫌!!!薬は私の薬だから自分でする」
と言います。

 

 

 

押し問答が続きました。

 

→→ 病院 5 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


願いがかなうふしぎな日記 / 著:本田有明

 

 

病院 3

 

あついです。
半端なく暑いです。

 

台風が過ぎて、今週は涼しい一日になりますとあったのに…。

 

オムレットくんと喧嘩をしました。
怒りながらオムレットくんは、釣った魚をさばいて刺身にして、怖い顔でつみれを作って、お豆腐の味噌汁を作っていました…。

 

もう動きの一部になっているのでしょうけど、これではわたしも怒ることができません!!
謝るしかない。

 

(普通男女逆では!?)とちょっとだけ思いました。

 

ねこエンブレム

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 病院 3 ~~

 

 

朝に、一緒に大きな病院を受診しました。
ホームに行くと、介護士さんが
「ああ、良かった!」
と言い、玄関先のソファで座って待っている母をうながしました。

 

「お母さん、それ…」
母は、大きな旅行用のカートを持っています。
もう帰る気満々!準備万端!です!といった雰囲気です。

 

「ああよかった、あんた待ってたんよ。さあこれで帰れるね」
「ごめんね、今日は病院だからカートはいらないの」
「病院?病院に行くの?今から?」
「カートは置いていっていい?」
出かけるまでに、ひとさわぎしてカートを部屋に戻しました。

 

参ったなあ…。
これが毎日続くとなると、やっぱりここには居られそうもない気がします。

 

 

 

 

病院には「母の起こした騒ぎリスト」を持参していきました。
先生はさーっと目を通しましたが、それよりも十分に母の話をよく聞いてくれました。

 

この日、母はすこしぼんやりして疲れている様子でした。
質問にはきちんと答えますが、あの「しゃっきりしてまとも」なのとも違います。

 

先生の質問にも機嫌よく答えていました。
「ここはね、いいところです!過ごしやすいし、何より娘がいるからね。でもね、あちらに家があるもんですから」

 

それから
「何か気になる事はありませんか」
との先生の質問に、
「どうもね、気になる事があるんですわ」
と言います。

 

「どんなことですか?」
「実はね…わたしここに来るのにね、黒い三人の男が現れて連れて来られたんですわ」
「黒い三人の男、ですか」

 

…!?
何だろ!?

 

「それがね、急に玄関先に現れて、娘さんが大変ですから早く早く!て言われて無理に車に乗せられたんですわ。そしたら眠くなってね、何か飲まされたのか…注射されたのか、それで眠らされてここに連れて来られたんです。それがね…どうもね、腑に落ちなくて

 

ちょっと首筋が冷えるような思いがしました。
男の子おらんかった?と言っていた時を思い出しました。

 

一般的な認知症のテストは、母はすさまじい高得点をたたき出しました。
30点中26点です。
もともと記憶には自信があるタイプです。

 

母には悪いのですが、がっかりしてしまいました。
看護士さんが「すごいですね~」と満面の笑顔です。

 

ちょっと高得点すぎない!?
私だってそんな点数出せそうもありません。
もう頭もぼんやりして、今日の日にちも思い出せそうもないです。(わたしが)

 

 

 

→→ 病院 4 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


バスエッセンス / イランイラン;サンダルウッド

 

 

病院 2

 

母の様子にまた大きな変化が起きて、なかなか毎日いっぱいいっぱいな日々を送っています。
一つ一つがそれぞれ、人生の中で節目になるのだろうなあと感じています。
今回の節目はまた大きなものになりそうな予感がしています。

  

細竹水ようかん

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 病院 2 ~~

 

 

「迷惑かけとらん!!」
もう、またあの状態になるのはいやだ~!!

電話口で狂ったように泣き叫びました。

 

「かけてるよっ!かけてるの!!かけて自分で忘れてしまってるでしょ!!おじちゃんはどうにかして、って言ったらどうにかしようと思ってくれちゃうタイプなんだから、絶対にそうなるから、あちらには戻れないの!!

 

母の錯乱状態が一瞬収まりました。
「けいちゃん、そんなに悪い?」
と聞いてきます。

 

あまりにも急に静かになったので、多少大げさに言ってるのが恥ずかしくなるぐらいでした。
そんな、いきなりはしごをはずさないで欲しい…。

 

「参ってるよ。もともと世話好きで絶対いやだとは言わない人なのに、弱音を言ってたの。あれはほんとにまずいと思った」
「そうね、あんた、そんな事聞いたのあたしはじめてよ。何で早く言わんかったん?」

 

ん?これは収まったのか??

 

「そうね、わかった。電話した時(土曜日のこと?)、何か歯切れが悪いからおかしいなと思ったんよ。わかった。」

 

そこから、病院は明日だからと話してとりあえず切りました。

 

 

 

施設にも電話し、くるみくんにも、様子を聞くためにもう一度連絡しました。
「きれいに棚とかに入れてた荷物、ぜんぶ出してる。詰めようとしてるけど、でもできないからウロウロして怒ってた。もうめっちゃヤバい

 

異常な感じだったのが伝わってきました。
ヤカンがそのまま入ってたキャリーバッグを思い出します。

 

不安でもう一度母に電話をしました。
「明日病院なのは大丈夫なんだよね?」
「うん、わかった。病院に行ったらすぐに地元に帰る」

 

これは予約した病院を受診→大きな病院に受診、の間が非常に危険だと思います。

 

予約した個人病院さんに電話しました。
「こういう理由で、大きな病院ですぐにでも受診したいが、紹介状をすぐにでももらえないですか?」

 

あとで考えれば、受診もしてないのに紹介状だけ書けなんてむちゃくちゃな言い分なのですが、その時はもう、あせってパニックになっていました。

 

こちらも「ケースワーカーさん」につなげてくれました。
親切に答えてくれました。
「明日の予約は基本検診、健康診断にすぎません。その状況下ではこちらに来ずに、そのまま大きな病院に行くのが妥当かと思われます。話を通してあげますのでお待ち下さい」

 

その日はほとんどずっと電話していました。

 

母に何度も電話してしつこく
「明日病院!明日病院!明日病院!」
と繰り返しました。

 

途中で、「それもう聞いたし!」と怒られます。
かと思えば、次に電話した時には「へえ、初耳!」と言われたりもします。

 

 

→→ 病院 3 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


もちもち抱き枕

 

 

病院 1

 

私は中華くらげが大好きです。
でもみんな、あまり食べません。
オムそばちゃんが少し食べるぐらいです。

 

オムレットくんが聞いてきました。
「くらげ好きなんだね?」
「うん」
「くらげ食べれるんだね?」
「うん?」
「それくらげだよ」

 

きょとんとしている私に言います。
「本物のくらげだよ。知らなかったの?」
くらげ!?海にいる!?
「やっぱり。なんとなく知らないような気がした。一体何だと思ってた?」
「きくらげか何かの白い種類のものだと思ってた。知らなかった。うへぇ

 

しかし、本物のくらげだからといって、食べられなくなるなどということはなく、相変わらず食べてます。
コリコリしてとても美味しいです。

 

 

 

一口ゼリー花風雅

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 病院 1 ~~

 

 

今予約をしているのは、小さくはありませんが個人病院さんで病棟もないようです。
おすすめの大きな病院の名前を教えてもらいました。

 

少し遠いですが電話してみようと思います。

 

母に「明日病院に行こうと思う」と電話をすると、大変機嫌がよいです。
「今日は部屋中の片づけをしたからずっと忙しかったのよ、何か変わったことはない?」
「うん、特に変わったことはないよ」
完全に忘れている様子です。

 

何を片付けているんだろう。
めっちゃ不安です。
自分で帰るために出したものを、もとに戻しているんだろうか?

 

この機嫌のよさは、財布に入っているけっこうな額のおかねが影響している気がします。
自分がコントロールできているという自信を取り戻しているのかも?
いつでも帰ろうと思い、タイミングがあってしまえば、新幹線に乗って一人で帰ってしまうかもしれません。

 

しかし母は慎重なので、地元ではない場所で夜、動きだすことはない…はず。

 

 

 

 

 

 

朝、教えてもらった病院に電話すると、ケースワーカーさんという方が相談を受けてくれました。
「本来、初診は紹介状がいるので、まずはその予約している病院に受診して、紹介状を持ってきてもらうのが一番スムーズ」

との返答です。

 

うーむ。
出鼻をくじかれた。
話が戻ってしまいました。

 

母も前夜にとても機嫌よくしていたので、私もこれは1日2日はもつかな?という感覚がありました。
「わかりました」
電話を切ります。

 

そこに、母に新聞を届けに行っていたくるみ君から電話がかかりました。
「ばあちゃんようわからんけど、まじやばい」
「えっ!?」
「ほんとまずい。帰る帰るが止まらないし、荷造りっぽいことしてて、でもできないでいる。あれは危険」

 

まずい。これはまずい。
「くるみくん、知らせてくれてありがとう」
家に帰るのを待たず、すぐに電話してきてくれたのです。

 

あわてて母に電話をします。
「お母さん、明日の病院のことなんだけど…」
「病院!?病院て何?あんたの都合のいい病院になんて行かんよ!」

 

日曜日、錯乱していた状態と同じです!
「何で戻れんの?地元に帰る!!」

 

認知症は夕暮れ症候群というぐらいですので、夕刻が危険だという意識がありました。
母がいつも帰る帰るとなるのは朝です。
朝がまずいのでしょうか。
起きた時に景色が変わっていてとまどうから?

 

帰れない理由は、けいちゃんおじちゃんに迷惑かけたくないからだと、かさねて話しました。
(これが一番きくと思いました)

 

「おばちゃんも具合が悪いけど、おじちゃんも相当にまいっている。おじちゃんにこれ以上負担をかけられないよ」
「いい!!あそこには迷惑かけん。電話もせんし、しばらく会ってないのにどうしてあたしが負担かける?」
「いやいや、かけてるって!!」
「一人でやれるし!」→話はループ

  

 

→→ 病院 2 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


【ラジコン】カマロ【はじめてドライブ】

 

 

相談 5

 

もう8月も半分過ぎてしまいました。
 

あっという間だなあ…。

 

母の思い出話をこうして書いていると、すっかり忘れていた気持ちが戻ってくるのを感じました。
書いてよかったなあと思います。

 


今の母は比較的落ち着いてます。
慣れとは恐ろしいもので、とんちんかんなことをしても、妙な答えが帰ってきてもあまり気にならなくなってきました。

 

問題は腹の立つことを言われたときです!
これだけは慣れません。
条件反射で反発してしまいます。

 

 

可愛いカメの小皿

 

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

~~ 相談 5 ~~

 

 

父はとても無口な人でした。
しかし冗談が好きで、いつもニコニコ笑っているおだやかな人でした。
正直、母が強烈なキャラなので、かき消されてしまうというか…。(ごめんなさいお父さん)
私は父に瓜二つでそっくりだとよく言われます。

 

「この人は私と結婚できたことが最大の幸せなのよ」
と母は豪語していましたが、父もまったく否定しないし、常に母を立ててました。

 

飼っていたわんこ(ダックスでした)が死んだ時は目をまっかに泣き腫らしていたとか、いい人エピソードしか残っていません。
私も、父から一度も怒られたことがありません。

 

強いて言えば、小さめの電化製品が大好きで、発売するとすぐに買って来てしまいます。
それも隔しておくので、あとで母にバレては怒られる、という…。

 

少し影がさしてきたのは、やはり老年期にさしかかった頃からでしょうか。
エキセントリックなところはあっても、基本、いう事に間違いはなかった母が、妙に怒りっぽくなり、父にガミガミ言うことも増えていきました。

 

母の要求にうまく対応できなかったり、母の反応を恐れて隠したことがバレて罵倒されたりの毎日です。

 

そんな中で私も父を守ろうとしたり、母の支配をひっくり返そうとしての、長時間のもみ合いやあざ、噛みつきなどは、わりと日常茶飯事だったかもしれません。
あのもみ合いは、母と私にとっては懐かしいものでもあり、他人には理解しがたい意思の疎通方法でもありました。

 

母の幸福は何なのかな…。

 

母のはっきりした話しぶりだけを聞いていれば、地元にいるのが一番の幸せなのねと判断することになるでしょうけど…。

 

本人も現状どうにもならなくなって私に迎えにきてと言い、こちらに来たはずなのに、すっぽりと全部記憶が抜けているのが腹が立ちます!

 

他人の助けを借りなければ過ごせなくなった状態での、母にとって「幸福な状態」は何だろう。
それを「ある程度母が我慢できるレベル」にまで上げるのは、非常に難しいことだろうと思います。

 

わたしも母に対して、その場しのぎの嘘を言うことができません。
母は嘘は言わない人なので、私も母に対して嘘で対応することはできないのです。

 

 

わたしが選択するしかない!
どちらかというと、「本人の身を守るためにどうすればいいか」、という話のように思いました。

 

精神科の受診もすすめられていました。
認知症専門と、精神科は違うのかな??
認知症のお医者さんに紹介状をもらって、精神科に受診することになったらどうしようか?
どうやってもたせればいい?

 

ぐるぐる考えながら思いつめていたときに、ふっと思い出したことがありました。
ずっと親しくしていてくれるママさんのご主人が精神科医だと聞いていました。

 

きいてみて、受診できたりするだろうか…。
思い切って、電話してみました。

 

その日すぐに、ママさんづてにパパさんのアドバイスをもらいました。

 

「この状況ならば、今予約している病院の受診を待たず入院も視野に入れて、病棟のある精神科に一刻も早く受診した方がいい」

 

今まででもっとも的を得たアドバイスだと思いました。
さすがプロ!
すーっと霧が晴れたみたいに、そうだそうだ、その方がいい!!と元気になりました。

 

 

 

 

→→ 病院 1 に続く

おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 


ねこリップ