今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

グループホームへ 3

 

気が付いたらもう11月。
暑かった夏のことも、遠い昔のことのような気がします。

 

オムそばちゃんもかなり大きくなってきているのですが、いまだに指をすうことがあります。
くるみくんはこれがとっても気に入りません。

 

親よりも厳しくチェックしていて、少しでもそぶりを見せるとさっそく邪魔しに行きます。

 

「指すうのやめて!」
と言いながらしきりとちょっかいを出します。
そのうち
「指すいながらにっこりして蹴るのやめて!」
と言ってます。

 

「やめて!」
「あっちにいけ」

オムそばちゃん、得意のキックでお兄ちゃんに激しく反撃していました。
もちろん、指はすっていました。

  

 

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~~ グループホームへ 3 ~~

 

 

もう、ショックでショックで…。
呆然として力が抜けて、立っていることも難しくて…。

 

私を頑張らせていた根拠みたいなものが全部なくなって、足元がガラガラと全部崩れていくような気がしました。
もうぼーっとして頭が働いていませんでしたが、漠然と思いました。

 

子供たちが巣立ったあとで離婚すると言っても、「将来をずっと共にする」という確信がない状態で毎日を過ごすことはできない。
だから多分、離婚をするというなら私は「いま」になってしまうだろう。

 

家を売った後に言わないで欲しかった!

 

それからずっと話し合いました。
聞いていると、オムレットくんは一生懸命に自分の不満を言おうとするのですが、それがまたおそろしく些細なことなのです。
例えば、「ご飯つぶを残していることを指摘しないのがいやだ」とかそういうものです。

 

そんなの自分で言えや!です。

 

でも聞いているうちに、私だけじゃなくてオムレットくんが相当に我慢に我慢を重ねて生活してきていたのはとてもよくわかりました。

 

しかしそのことをオムレットくんは、不満であると言ってはいけない、と思っているようでした。

 

家の中がめちゃくちゃになっていることや、おばあちゃんの世話に行かなければいけないことを不満に思っているのではない!と言うのです。
そこは仕方がないと思っている!
そして具体的な不満は…→「ご飯つぶ」

 

だんだん、支離滅裂になってきて、お互いにとりあえず寝ようということになりました。
翌日は仕事もあります。

 

しかし私は一睡もできずに、ずーっとキッチンで座ったままでした。

 

オムレット君が起きてきました。
「昨日の話だけど…」
と私が言いました。
すると、オムレット君
「昨日の話?覚えてない」
と言います。

 

えっ?

 

「忘れた・覚えてない」

 

何度聞いてもその一点張りです。

 

忘れてるわけあるかーーー!!!!

 

でも何度聞いても
「わすれちゃった!!!」
としか答えません。

 

 

 

 

 

 

 

といっても、私も一人になってゆっくり考える時間はほとんどありませんでした。
まだまだ、あれこれあれこれ、たくさん山のように用事はあります。

 

足りないものを買いそろえ、引っ越しはがきを出し、書類を取り揃え…心配してかかってきた方には事情をお伝えして…。
学校の用事もありました。
仕事も休み明けでちょうど忙しくなるところでした。

 

多分、オムレット君も同じだったと思います。

 

多分、頭が冷えて冷静になったオムレットくんの出した結論はこれなんだろうな…。
全部なかったことにする。

 

しかしこの打撃はかなりのものでした。
そうとう長く引きずりました。

 

 

 

 

→→ グループホームへ 4 に続く

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