おばあちゃんのカーペット　１ - 今日もまた違う一日

施設から連絡が入った「カーペットのすそが巻き上がってしまっているので取り替えて欲しい」というお知らせ。

転倒の危険は承知しながらもぐずぐずしていたのは、ちょっとわけがありました。

母の部屋にしいていたのは、カーペットといっても割としっかりしたじゅうたんなのです。
家のリビングに敷いていたものでした。
古いですが重たくてずっしりしていて、毛もしっかり立っています。

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すごく重たいこれを、母はよく端からぎゅっ、ぎゅっ、ときつく巻いていました。
冬になると夏用のすだれ風カーペットに取り替えるのです。
これもまた重たくて、母はお友達からも
「あなた本当によくやれるわね！！」
と驚かれていました。

さて、どうしよう…。
うちのカーペット、もうかなり汚れているんだけどな～～。

うちのカーペット、くるみくんはまあまあ大きくなってましたが、オムそばちゃんがあれをこぼし、これを吐き、汚すだけ汚した代物です。

取り替えたいけど、オムレットくん何て言うかな～。

しかし私よりもオムレットくんの方がずっとやる気でした。
土曜日になると、
「さあ行くよ！！！」
しぶる私を引きずっておばあちゃんの所に向かいます。

おばあちゃん、
「仕方ねえわ、転ぶからねえ。なくても全然困らんよ！！」
なんて言ってます。
状況をちゃんと把握しているようだ…。

ちなみに、あれから症状は落ち着いていて一身一帯です。
オムレットくんのことも、
「あんたのだんなは助かるね！」
とか、わたしのことも
「わたしのこども！！」
と言ってますので、今日は調子が良いです。

この調子というのは、記憶のことなのですが、はっきり覚えているときとまるでぼんやりしてしまっているとき、波のようにいきつもどりつしながらだんだんに全体的に見ると下降線をたどる…、という感じです。

分厚い重いじゅうたん、たんすを上に置いてあったりもしたのでオムレットくんと施設の方とで、家具を動かしてやっとのことで引きずり出しました。

ホームのリビングと部屋をものめずらしそうに行ったりきたりしているおばあちゃん、突然（別の意味で）我に返ったみたいです。

「ちょっと！それどうするの！？ないと困るが！！どこにもって行くつもりなの？捨てるの！？」

「…………」

さっきは「仕方ない」なんて言ってたのに…。
転ぶからあぶないので取り去ると了承していたこと、すうっと頭から消えてしまったみたいです。

この振り幅に、こちらも一喜一憂して振り回されてしまいます。

しかし、こちらにも迷いがありますので
「やっぱりおばあちゃん、慣れてるじゅうたんがなくなるの、いやだったかな…」
という気分になります。

オムレットくんはもう、相手にしません。
断固として持って帰りました。
私がぐずぐずと迷っているのもわかってるみたいでした。

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