自給自足にとりつかれたオムレットくん
オムレットくん、枝を拾いながらあれこれ指図をしてきます。
「カヤを拾って。竹はだめ。カヤは火を付けるとき、めちゃくちゃ役立つから」
と言われてもカヤと竹はみため、ものすごくそっくりでまるで区別がつきません。
竹といっても細い竹が多く、どれがカヤでどれが竹なのかさっぱりわからないのでうろうろしていると、オムレットくん、大量の竹っぽい細長い枝を抱えて帰ってきました。
「あっ、全然拾ってない!」
「いや拾ってないけど、代わりに枯れ木をたくさん拾ったんですけど」
「紐で縛れないかな」
「紐は持ってないなあ~」
オムレットくん、そのあたりをごそごそ探し始めました。
「その辺の竹の皮とか使うんだ。これこそ自給自足の生活だ」
サバイバル生活にあこがれてるのだろうか…。
正確に言えば自給自足ごっこと言うべきなんでしょうけど。
とうとう、ツタみたいなもので縛ってしまいました。
これが二束ぐらいできました。
川原は丸い石があちこち複雑な形で落ちてて歩きにくいです。
ですがこうして歩いていると、大昔の子供時代をちょっと思い出しました。
一つ一つの足取りにじっくり体重を乗せずに、よく目星をつけて、軽めにひょいひょいと歩きます。
かもしかになった気持ちで膝を曲げて行くと、あまり足が痛くなく、早いです。
とつぜん、足が速くなった私の後ろから、オムレットくんが枝のたばを抱えてふうふう歩いてきます。
車を停めてあるところに着くと、誰か真横にとめてある人がいます。
「くるみだ!」
「いやいや、ランニングだと思いますよ」
「僕は水をくんでくるから、その間にくるみを踏んでて」
オムレットくん、あれこれ指図をします。
踏んで柔らかい皮の中からまずくるみの実を出すのですが…。
ここで、さて踏もうと、道沿いにくるみをぶちまけたところで、おとなりの車の人が帰ってきました!
すごくいいカメラと機材を抱えています。
カメラマンなのか、趣味なのか。(どうでもいいですけど、服もいい服着てます)
こ、ここでひとりで道の真ん中でくるみを踏んでいると、ちょっと変な人すぎる…。
自分の服も、まったくアウトドアな感じではないです。
散らかったくるみを、さりげなく茂みの方に足で集めたりして、ごまかしていました。
カメラの機材は片付けるのに時間がかかりますので、そのままかなりの時間が経過してオムレットくんが帰ってきました。
「あっ。ぜんぜん、踏んでない!」
しかもそれは、カメラの人がすっかり積み込んで車で去って行った直後です。
いやいや、こういうことだったんだとあれこれ説明しましたけど、どうにも「気の乗らないさぼっていた人」っぽさは仕方がありませんでした。
オムレットくんが汲んで来たのは、道路を流して洗う水です。中の実だけを拾って洗いました。
オムレットくん、川から海の方に移動しました。
釣りずきなので、このあたりは庭みたいなもののはずです。
オムレットくん、足元を指さしました。
「ほら、銀杏あらってる人いるじゃん」
「ほんとだ」
明らかに洗った風の皮が散らばっています。
「あそこにもくるみの皮と洗ったあとがあった」
「似たようなことする人いるんだね」
「これで今シーズンは終わりだ」
海の砂浜で、オムレットくん、さかな用の網にくるみを入れてガンガンに踏みます。
ガシャガシャとやっていると、みるみる果肉が取れていきました。
これをすれば、たわしでこすって洗うことはもう、しなくてよさそうです。
今や、くるみは(粉々ではありますが)タッパ一杯分ぐらい溜まりました。
これを、自家製バジルとあわせて、バジルペーストにするのです。(オムレットくんが)
もう冬ですので、最後の刈り取りです。
これで、今年のバジルペーストは終わりです。
オムレットくん、だんだん作る量が増えてきて、もうこれで冬いっぱい持つでしょう。
鶏肉のバジル焼きも、バジルスパゲティも、みんな大好きなので、うちでまともに自家製と言える唯一のレシピです。
(あとは、しそを育てているぐらいでしょぼいものです)
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