家を処分する日 6
こんな風に外にいつも出られたらいいのですが。
問題は、おだやかなおばあちゃま、おじいさま方だけならいいのですが、そうもいかないことです!!
母の縁から、たくさんの方のお話をききました。
やはり、どこの家庭もみんなお年寄りを抱えています。
そして、その方々のお話を聞いた限り…。
母は、まだぜんぜん楽なほうであるのかもしれない、と思うこともありました。
~~ 家を処分する日 6 ~~
いくら話しても頭に入っていかないし、こうなってしまうと気持ちをそらすことも難しいのはこれまででわかっていました。
(頓服が役立つ時がついに来た…)
頓服でリスペリドンを追加投与です。
ここまで強いパニックにはきかないのではないだろうかと。半信半疑でした。
しかも、飲んでもらえるのかな!?
なるべく普通に
「これ飲んで」
と差し出しました。
「何!?これは」
「おくすりです」
これは本当に不思議なことなのですが、母はお医者さんとお薬が大好きです。(あぶないことですが…)
私はどちらかというと薬は嫌いで、頭痛薬もなるべくぎりぎりまで飲みたくないタイプですが、母はガンガン飲みます。
その時も、不審げではあるのですが素直~に飲んでしまいました。
0.5mgの半錠なのでとても小さな錠剤です。
飲んでもらうと、30分ぐらいして、ふっと落ち着きました。
こんなに効くものなのか!?
こちらがびっくりです。
しかし、その30分間は果てしなく騒ぎ続けていました。
パニックの内容を説明を求めてくるのですが、説明したとしても、頭に入るわけでもないのでこれがもう、はっきりいってめんどくさいの極地です。
やっと母が落ち着いてこちらもぐったりですが我に返りました。
よく考えてみると、これって、怖いことだと思いました。
私の周囲はみんな誰もが親切で、大変だねと言ってくれるし、この状況では仕方ないと言ってくれます。
でも、もし悪意がある人だったら?
高齢者のかたにお薬を使ってふらふらして、ぼんやりして、おだやかになった時に大変な決定をうながされたら?
財産を騙し取るなんてすごく簡単そうなことにみえます!!
よりによって、契約のサインをしてしまった後に起きたことも怖かったですし、そういう、世の中にありそうな「悪意の可能性」の一端にふれたことそのものが怖かったです。
帰る直前に、もうひとかたの親戚にも会うことができました。
こちらは、母の弟さんが…もうかなり…普通にボケていらっしゃいます。
おだやかなかたなので、攻撃的になるところはなさそうです。
でも、おばちゃんがとてもイライラしているのがよくわかりました。
お…お気持ち…わかります!!!
アグレッシブかどうかの違いはあっても、母、母の妹さん、母の弟さんと、みんなボケ方の質のようなものがよく似ていました。
こんな所で、兄弟のきずなのようなものを感じました。
この数日で、日本の抱える高齢化社会の縮図をぜんぶ見たような気分になりました。
私たち、大丈夫なんだろうか?
くるみくんやオムそばちゃん、これからの社会で本当に大丈夫なんだろうか?
→→ 奇妙な事件 1 に続く