母のカーペット
施設に言われました。
「もしかすると、カーペットをもう撤去した方がいいのではないかと思います。転倒の危険性があるので…」
はじがもう、めくれてしまっているのです。
どうしようか。
迷います。
このじゅうたん、わりとふかふかして、母のお気に入りでした。大切にしていて、本当は夏には竹カーペットをしき、きちんと丸めて取り替えていました。
色合いも青みがかっていて素敵です。
このじゅうたんがあると、私も母の所を訪れた時に「家!」という感じがして、ほっとするのでした。
オムそばちゃんも
「ここは田舎の小さなうちみたいだね!」
と言います。
そんな部屋の景色が変わってしまうと、せっかく今なれてきたのにまた落ち着かなくなってしまうのではないかな…。
あまりにも転ぶので、少しでも転倒の危険を回避したいのでしょう。
安全を重視することと、精神の安定、どちらを重要視すべきなんだろう。
もうかなりのことを忘れてしまってはいるので、カーペットを取り払ったぐらいで精神の安定が…といえないような気もします。
ちょっと思い出しました。
一番最初に見に行った施設は、医療設備を要する「重度」のかたの施設でした。
全員が車椅子に乗り、誰も一言も話すことなく体にはいっぱい管をつないで、ただひたすら座っていました。
もう本人の意思などまったく関係のない世界だと思いました。
安全を最優先してまったく本人の喜びのない無機質な場所にしてしまうというのはどうなのか…。
でも、これは私一人の抵抗なのかもしれません。
私の心の問題なのかも。
母は、とても生きていたい欲の強い人でしたので、少しでも長く元気で生きていて欲しいと思いました。
なので、カーペットをなんとかして取り去ることにしました。
とはいえ、割と大変です!
家具をどけなければなりません。
土日にオムレットくんに手伝ってもらうことになりました。