今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

母のこと叔母のこと 3

 

おばちゃんの入っている施設に電話をかけたのは、母がデジタル面会できるように、おばちゃんも出来るのか聞いてみよう、ぐらいのちょっと軽い気持ちでした。

 

正直な話、おじちゃんはデジタルにはたいへんうといので、そのあたりはまったく考えてもいないでしょうし、施設に聞いてみた方が早い、と思ったのです。

 

思わぬことから、直接に言葉を交わすことになって、おばちゃんの怒っているはっきりした声を聞いてしまって、かなり心が乱れていました。
すごく落ち込んで暗い気持ちになっていました。

  

 

 

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おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

 

別におばちゃんは、私には細々とした声でしたが普通に応対してくれたのす。
だから、施設の人へのその声が、あまりにも差があったことにびっくりしました。


いつも母は、(自分のわがままを棚に上げて)、妹のおばのこのわがまま(?)傾向についてはよく話していました。
おばちゃんに電話したらこうだったんだよ、と母にだったら話せる気がしました。
ああ、話したいなあ。

 

もし、デジタルじゃなくて普通の面会だったら、母が理解できるかどうかに関係なく、世間話のように話していたでしょう。

 

 

携帯を握って待ちます。
時間が近付いてきました。

母の顔を見るのが怖いようでもあり、でもやっぱり楽しみでもありました。
反応が不安な気もします。

 

おばちゃんが、あまり反応のない、細々とした声だったこともあって、
「かなり症状が進んじゃってるかもしれないです…」
と言われていた母はどうなんだろう?

 

「もしもし」
から二言三言で終わってしまった叔母でしたが、もう十分であるような気がしました。


母のデジタル面会も、最初は「10分!?」と思いましたが、よく考えてみたら、10分も話すことが出来るだろうか?
反応はあるだろうか…。
あんた誰かな?という感じだったらどうしよう。

 

ものすごくドキドキしました。

 

通信は、割とスムーズに、すぐにつながりました。
母だー!
横に施設の方がいて、タブレットを指差して、うながしていてくれます。
「娘さんですよ~」

 

母の顔に、ぱっと光がともったようになりました。
気がついた!
声は小さくて聞えづらいのですが、明らかに表情が変わってはっきりした顔つきで、画面を指さして施設の方の顔を見て、何か言っています。

 

私の名前を言ってます。
そして、画面に戻ってはっきりと私の目を見てくれました。

 

とても元気そうで、頬はピンクだし、穏やかそうな顔をしています。
(別に不幸そうで不満タラタラという感じではないです)

しかも、しっかりお化粧しています…。
相変わらずです。そこはばっちりです。
(もしかすると、面会とのことで、施設のかたが手伝ってくれたのかもしれません)

 

おばちゃんとの電話でショックを受けたあとでしたので、母のその反応がものすごく元気なものに思えました。
「あんたやの?ああ、嬉しい、ありがたい」
と母は言って、手を打ち合わせて喜ぶような仕草をしました。
すっかり笑顔になっています。

 

ちょっと、声があまりにも小さくてよく聞き取れませんが、施設のかたが大きな声で
「気付かれましたね!わかりましたね、よかったですね!」
と言っているのが聞こえました。

 

暗い気持ちがちょっとふきとんでしまいました。
母は、母だ!という気がしました。

 

基本明るくて元気で、はっきりしてます。
社交的で、あれこれ話しますし、よく気がつきます。

 

施設のかたに話を伺うと、トイレもしっかり行くし、まだおむつも必要ないとのことでした。
(「あのな、あんた、私帰らんと」という傾向はどうなっているのだろうな?と思いましたが、本人の目の前で施設の方にそれを聞くわけにもいきません)

 

終始、母は笑顔でこちらを向いていてくれました。声は小っちゃくてあまり聞こえませんでしたが、十分でした。

 

10分でしたが、とてもありがたかったです。
母の生命力の底力が見えた気がしました。

 

 



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父と母(の若い頃)、この↑ちょっと見えている頭が私です

 

 

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