くるみ割りを割るくるみ
今こそ!このボロタオルが活躍する時だっ!
キッチンでガチャガチャゴロンゴロンやっているので、オムレットくんが見に来ました。
昨日の分は乾いています。
オムレットくん、コンコンやってみますが、まったく割れそうな気配すらないです。
普通の市販のくるみは、降ると中でカラカラと音がしたりしますが、このおにぐるみはまったく何の音もしません。
カランとも言わないし、そもそも拾っているときからして、割れているのなんて一つもありませんでした。
いったい、この硬すぎる殻を破って、どうやって木が生えてくるのか不思議なくらいです。
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「『くるみのみとり』があるらしいんだ。耳かきみたいなやつ」
とオムレットくんが言います。
「くるみの実取り」か…。
(看取りなのかと思ってしまいました)
「くるみわりはあるんだよね」
「うん一応ある」
オムレットくん、出してきました。
でもそんなにすごく丈夫なくるみ割りじゃないし、かなり古いやつです。
以前、オムレットくんから「一体何に使うの!?」とブーブー言われてたやつです。
私は昔から、くるみの実を割るのが好きだったのでくるみ割りは家でも常備品でした。
母もよく、くるみを買ってきては、大変ねなんて言いながら割っていました。
最近は、実のまま売っているものなんてまったくといっていいほど見かけません。昔はよく売っていたのですが…。
「ああ、でもおにぐるみは半端なく硬いらしいよ…」
めきっ
「くるみわりが割れてしまいました」
ええー!?
歪んでしまっています!
硬いとは聞いていたけど、まさかこれほどとは。
恐るべし、おにぐるみです。
実家にはもっと丈夫なくるみ割り機があったのですが、さすがにいらないかと思って処分してしまいました…。
「これはとんかちしかないのかもしれない」
「指を叩くのがおちだよ!」
ありそうな話です。
しかし、くるみを拾い、果肉を取って、水につけて、タワシでみがき…。
このくそ忙しい生活の中で、気の長い話です!
「とりあえず壊れてしまったのは捨てよう…。くるみが割れないくるみ割り機があっても仕方がない」
割れないくるみをどうするのかはとりあえず保留にして、洗ったばかりの濡れたくるみをまたベランダに干しました。
前途多難です。
しかしまぁ、オムレットくんは色々と思いつくので面白いです。
そしてなんとなくなのですが、こうして旅行だ焚き火だくるみだとあれこれとやっているのが、何となく一生懸命、おばあちゃん騒屋の後の大喧嘩がなかった頃に戻そうと努力している様子が垣間見えるような気がします。
最近は、ずーっとなんとなく抱えていた喧嘩の後遺症、わだかまりがすーっと消えていってなくなって、ほとんど忘れているのを感じます。
やはりこういうのも時間薬なのか。
コロナは私たちにとって危機ではありませんでしたが、介護は本当に家庭崩壊のギリギリでした。
一寸先は闇、何が起きるか分からないというのは本当にその通りだなあとこの穏やかな生活の中でつくづく思います。
今日も車で運転しているとき、周囲を代わり映えのない景色だな~と感じたときに、もうここが故郷になってしまったと思いました。
そのときどきの気持ちは変化するので、そのときどきの気持ちの吐露をいつまでも覚えていて恨みに思ったりすることもないのかなと、そんな風に思いました。
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