夕暮れ症候群
私はちょっと黙ってしまいました。
母に「どこに?」と聞かれて、「施設に」と言う事ができませんでした。
イヤだろうなと思ったのです。
そのあと、押し問答を繰り返しました。
母は、断固出ようとしません。
「帰らない」「むり」
の一点張りです。
これはまずいかもしれない。
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軽く押し問答になりました。
強く言ってはだめだという気持ちが前よりも強いので、辛抱強く言ってみますが、母はまったく動こうとしません。
靴をはこうとしません。
頑強に抵抗しています。
押してうながしてみたりしましたが、母はもう軽くなっていて、歩くときもふらふらする体を支えて歩いているつもりだったのに、こうなってみるとやはり異常に力が強いです。
力、強っ!!と思いました。
私の方がふらふらしてしまいます。
母は、リビングに戻ってしまいました。
仕事して家であれこれ家事もして、へとへとになった私は、玄関にうずくまってしまいました。
ここできたか、と思いました。
ずっといいことばかりなわけなかった。どこかで来ると思ってたらここか。
母は、ウロウロしたい気持ちがあるので廊下に出てきますが、私を見るとすぐにリビングに戻ってしまいます。
またやってきたときに、力をふりしぼって
「お母さん、行こう」
と言いました。
「とてもむり。行かれん」
「帰らないと」
「帰るってどこへ。到底、帰られん」
「でも、行かないと…」
「どうして帰れる?」
どこへ行かせようというのか?と聞えます。
答えることができません。
誰か助力になる人はいないだろうか?
くるみくんにLINEしましたが、既読がつきません。オムそばちゃんはまだ習い事です。
いつもいつも子どもたちに頼って申し訳ないです。
こんな時に…どうしよう。
母は、私のすすめに従ってまた足を出しましたが、ひっこめてしまいます。
そしてひとこと
「こわい」
と言いました。
ちょっとだけ、はっとしました。
外はもう真っ暗で、すっかり夜みたいです。
この家(肉体)から出て、どこのくらやみへ行かねばならないのか。
と言っているように聞こえました。
夕暮れ症候群…。
でもまだ、5時半とかなのです。
もう季節がすっかり冬に近づいて、夜が早くなっているので、こんなに暗くなっているだけなのです。
これはもう、説得を言い続けるしかない。
ひたすら、行くよ、行くよと言い続けていると、やっとのことで片方、靴を履いてもらうことに成功しました!!
ここからは、何とかうまくいきました。
一歩一歩、励ましながら足を前に出してもらい、やっとのことで駐車場までたどりつきます。
無事に母を送り届けて、施設の門を出た時には、めまいがするほどほっとしました。
もしかして、泊めなければならない?
と思ったときの心理的負担はすごかったです。
今度から、あまり遅くならないように注意しよう。
でもこれからどんどん夕暮れは早くなっていきます。
もしくは、くるみくんかオムそばちゃんんにいてもらおう。
そう思いました。
暗い話題なので、モックンに癒されようと思いのせました。
本文にまったく関係なく…モックンにも申し訳ないです💦
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