おせんべいをガツガツ
まずは、買い物に行きました。
やっぱり母は小さい子供にすごく注目します。
あの子が可愛いこの子が可愛い、どの子も可愛いです。
話しかけたりもします!
(これは、ちょっと、危ない人っぽく見えたりしないだろうか…)
やはり、子どもは癒しです。
昔から思っていましたが、母はすっごく母性本能が強いです。
そしてそれをコントロールできないのです。
だから私の事も、いつまでも支配しようとしてきます。
でも、できないので苦しんで、もう我が身の一体となってるから切り離せなくて…それで苦しんで苦しんで、結局がんになっていました。
全く同じことの繰り返しだ。
お母さんの人生っていう感じだ、と思いました。
同時に、結局、母の病気はお前(=わたし)が原因じゃないのか?とちくっとします。
こんな葛藤の中で、結局親に従うことを選択してしまう人も、いるような気がしました。
母は普通にトイレに入っていました。
この前、はじめて便の始末をしてから、また出たら…と内心思っていたので、ありがたかったです。
私はまだお昼ご飯を食べてなかったので、フードコートに入って長崎ちゃんぽんを頼んでみました。
久しぶりだし、母はあんかけ焼きそばが好きだったし、少し食べるかな?と思ってのことです。
(九州つながりでもありますし)
母は小皿に少しだけ食べてくれました。
しかし、どちらかと言うと野菜を避けるように、麺のところばかり食べています。
健康志向だった頃の母には、考えられないことです。
前もストレート派だったコーヒーを甘くしてたし、これが子供がえりと呼ばれるやつなのかと思います。
家に行ってから食べればと思い、パンをいくつか買いました。
というわけで、家に戻ってみると、母はやっぱり、またしてもトースターの横にあるバスケットをガサガサしています!
ここに美味しいものがあった、ということを体が覚えてるんでしょうか?
買ってきたものもそこに積み上げてみました。
今日はクロワッサンがなくて残念だったのですが、ミニカップケーキ、あとは懐かしいおせんべいです。
ピーナッツの入った米粉のおせんべい(南部せんべいではありません)、これが今日は母のツボにはまったようでした。
このあたりで売っているもので、郷里のものとは少し違うのですが、味が似ています。
割っては食べ、割っては食べと、ガツガツ食べていました。
前に来たときよりも食べてます。
絶対に食べるもんかーっ!という顔で、口をぎゅうっと結んで拒否されたときは、本当に腹が立ちました。
ですが、こうしてうちに来る=食べる、という風になってくれればうれしいなあ。
おせんべい、けっこう入っていたのですが、半分ぐらい食べてしまいました。
あとで見て見ると、割ってまだ食べていないおせんべいが、机のふちにきれいに並べられてありました。
面白いことするなと思ってちょっと笑ってしまったのを覚えています。
お友達の所もお父さんも、ティッシュやトイレットペーパーを、をこよりのようなものを大量に作って積み上げていたりしたらしいです。
危機はそのあと、訪れました。
もう冬も近いので(11月半ばのことでした)、夕暮れも早いです。
あっという間にすっかり暗くなってしまいました。
さあ、そろそろ行かないとねと言って、母をうながして玄関に出ます。
すると母は止まってしまいました。
「どうしたの?」
「どこに行かれる?」
「…」
「どこも行かれん」