原節子は覚えていた!
今日の「おばあちゃんの外出日」…。
トイレしませんでした。
それが、こんなにもありがたいと思ってしまったのに、少し罪悪感を感じてしまいました。
今回は準備万端でした。
くるみくんに頼んで、お風呂まで張っておいてもらいました。
様子にとても気をつけていて、トイレ行きたくないか、と何度もたずねました。
ときどき、ちょっと気付かれないようにですけど、後ろに回ってクンクンしてみました💦
トイレはなるべく、お年よりの心を傷つけないように…と書いてますので気をつけましたが、挙動不審なので母も緊張しちゃったのかもしれません。
12月も半ば過ぎ、母はとてもいい感じに元気です。
食事の量も、むらはあるけど戻って来たと言っていました。
ちょっとだけ、思うところもあります。
コロナで閉じ込められて、誰にも会えず、だんだん慣れてきて扱いが若干雑になっていたりもしたかもしれません。
「この人はこういう人」と決められて、「こんな感じでいいわ」みたいな…。
そういう扱い、母はとても嫌います。
常に尊重されていたい気持ちが人よりも強いのです。
おばあちゃんがなごやかにたくさんパンを食べて、普通になごやかにコーヒーを飲んで、(大の方の)トイレをせずに帰っていきましたので、あえてわざわざお風呂に入ったらということもしませんでした。
今日は、母のために、二つほどAmazon プライムの映画をチェックしておいて、ウォッチリストに入れておきました。
最初に、母が大好きだったマリアカラスの歌声がたくさん入っているドキュメンタリー映画を開いてみました。
残念ながら、母はあんなに好きだったのに、マリア・カラス自体を覚えていませんでした。
名前を言ってみてもダメでした。
マリア・カラスの顔を見て、
「まあ睨んでる!怖い顔!」
とか、そういう事ばかり言うので、閉口してしまいました。
マリア・カラスごめんなさい。
でも確かに、ものすんごい目力です。
歌声もちっとも聞いてくれませんでした。
ちなみに、先日話題にした祖母時代の映画「ニノチカ」は最初から諦めていて、付けませんでした。
さすがに、「母の母」時代に流行ったものは、覚えていないだろうなあ…。
それでもう一つ、小津安二郎の「晩春」があったので、今度はこちらを付けてみました。
流しっぱなしでしばらくずっと、 反応がなかったのですが、途中でじーっと原節子の顔を見ています。
「綺麗やねえ!」
見覚えがあるように言います。
「やっぱりこの人は綺麗やねえ!」
という風な言い方です。
「原節子?」
と聞くとうんうんとうなずきました。
原節子は覚えていたんだー!
さすが伝説の大女優です!
「東京物語」とかにせずに「晩春」にしたのは、私がまだ見たことがなかったからでした。
しかし、これは「東京物語」よりもキャストの数も少なく、原節子ばかりを大写しにするところが多い映画だったので、そういう意味ではとても良かったと思いました。
映像も、白黒なのですけどとても美しかったです。
背景や、日本家屋や、長写しのお能のシーンなど…。
映画の中で、お能をこんなに長くやるなんてすごいなと思いました。
そして、能も原節子もあまりにも綺麗なので、目が離せません。
内容は、戦時中の病気で嫁き遅れになった娘を、再婚すると嘘をついて無理矢理嫁がせるお父さんのお話でした。
古風で、奥ゆかしくて、ぜんぜん今は見ることができない風景のようでいながら、父と娘のお互いを思いあう愛情は現代にも通じるもので、とてもいい映画でした。
お掃除もはかどりましたし、おだやかな一日でした。