無理してまで連れ出すかどうか
さて濃厚接触の定義はともかくとして、PCR検査をどうするかです。
もし、するのであれば、市中でPCR検査ができる病院にかかるか、お医者さまから検査できる病院に紹介してもらう、という形のようです。
ん?んんん~?
じゃあなぜ、かかりつけ医さんは、大きな病院へなんて言ったんだろう…。
わたしが望めば、かかりつけ医さんから大きな病院へ連絡してくれる、ということだったのだろうか。
何だか、施設の言い方では、勝手にいってやってくれみたいな風に聞えましたけど、これは「またぎき」なので不確かです。
もし会いたいから連れ出すのだとすれば、とにかくこれは、(私の検査を拒否した)わたしのかかりつけ医さんにかかってみるのが一番早そうです。
この先生ならば、間違いなくPCR検査は必要ないという判断を下すでしょうけど、少なくとも私は母に会えるわけです。
しかし、熱があって寝ているのを無理矢理に引きずり出して連れていくのもちょっとどうかという感じです。
電話して、とりあえず一部始終を伝えました。
そして、私としては、病院に連れて行くということでもあれば母には会えるので、それは可能なのであればしたいけど、病状もあるだろうから施設の判断にもおまかせすると言いました。
多分、施設はOKはしないでしょう。
私としては、母に定期的に会わせてもらっていたのはとてもありがたいながらも、中途半端なのがいけなかったという心がありました。
経営している会社の方針としてはアウト、面会禁止で会えないということになっているのに、内部の人の判断で会わせてもらっていたのでした。
それも、寮長さんはもともと、余命宣告があったとしても面会すらも反対であるように見受けられました。
おそらく、ケアマネさんひとりの判断だったと思います。
病院に連れて行ってもらう、という所でやっと会うことができることになる。
余命宣告が出るほど手遅れの状態であることがわかってから、じゃあ会っていいよと言う。
人道的配慮とは言っても、なんとなく、なんとなくの状態のまますすんで来ました。
その挙句に、なんとなく元気になってきた+コロナが広がったから、じゃあだめだよと言う。
基本ダメはダメなんでしょうから、私も甘えていたわけです。
とりあえず、電話はOKですと言われたので、会えないまでも電話はしてもいいですかと伺って、そこはOKをもらいました。
いくら私がイキり立っていて、反社会的なゴリ押しをしたくとも、さすがにこの感染者数の増え方では、仕方ないと思う理性は(かろうじて)残っていました。
(東京で1000人ほどの感染者が出ていた時です)
今までもとてもよくしてもらっていたわけですし。
しかし、寮長さんはいっさい電話に出てきません。
本社から電話して言ってもらったにもかかわらず、やっぱり爪は切っておらず、いつ見ても長いです。(8ミリは長すぎと思います)
髪の毛や、ほこりもついています。
白髪なので、めだちます…。
今回も、あとづけで、トイレで転倒したようだが誰も見ていなかったようだという話も出てきました。
ええ~!?
しっかりされてるなと思っていた方がどんどんいなくなっていきます。
母は、自分のことがもう自分では出来ないし、癌の余命も出ているのに放置されている。
そして会うこともできない。
責任が取れないから。
やりきれない気持ちと、医療機関も、介護施設も、いっぱいいっぱいでこれ以上は無理という状態なのだろうなという気持ちとの間で揺れてしまいます。
コロナで責任って何なの?
濃厚接触にならない定義は最低限守ってる。
それでどこかからともなく持ち込まれたとして、それを誰がどういう責任を取るの?
そんなときに、そうだ、この介護施設本体の会社の方針はどうだっただろうか、と思って、ちらっとネットで調べてみました。
面会、禁止されてないじゃーーん。
あの、何度も繰り返していた
「面会はずっと禁止ですっ!」
「面会はずっと禁止ですけど特別!」
というのは一体何だったんだろう…。
でも、思いとどまりました。
この今の感染者数の増え方は尋常じゃないです。
なので、そこは言っても仕方ない…と思いました。
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濃厚接触の定義とは
しかし、まずはそのかかりつけ医さんから言われた
「ご家族が望むなら大きな病院でPCR検査を」
という所です。
これに関しては、まずはその大きな病院に連絡をして、聞いてみることにしました。
どういう手順で行うのか、検査にはどのくらいの時間を要するのか。
そして、万が一コロナだった場合には、どういう扱いになるのか、など聞いてみたいと思いました。
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体調は、吐き気があり、(あのえづきのようなものだと思います)カロナールを処方したとのことです。
癌が暴れているのだろうか…。(コロナかもしれないとは全然思いませんでした)
電話を切ってから、なんだかすうっとおなかの痛みがなくなっているのに気がつきました。
昨日からずっと痛くて痛くて、これは病院に行かなければならないかも、と思っていたのにです。
いや病院には行かないといけなさそうですが、それにしてもあまりにもあからさまです。
おばあちゃんに会えるかもしれない✨
結局、施設で面会禁止だどうのといっても、いざ何かあって、病院に行ってもらうということがおきたときには、家族が連れていくのです。
これは前から、大きな矛盾だなと思っていたことでした。
これは、緊急事態宣言が出るまえの話なのですが、もう本当にコロナが憎らしいと思いました。
若干、距離をとることが出来たときには、精神的に回復することもできたので、本当に勝手なものです。
しかしとりあえず、翌日、大きな病院に電話をしてみることにしました。
* * *
翌日、さっそくかけてみました。
(会社の休憩室ででした)
とりあえず、かかりつけ医さんに言われたとおりに言ってみます。
「こちらの病院に電話して家族が望めばPCR検査をとのことで…」
すると、受付のかたにピシャッと言われてしまいました。
「保健所からのみ受け付けておりますので、保健所にご連絡ください」
たぶん、同じような電話が山のようにかかっているのでしょう。
橋にも棒にもかからないような調子でした。
これはあまり腹も立ちません。さぞ大変なんだろうな…と思っただけです。
次に、保健所にかけてみました。
コロナの窓口へ回されて、ひととおり説明をします。
すると、窓口のかたがちょっと考え込んでしまいました。
まず、保健所ではある条件をクリアした該当者でなければ、PCR検査を保健所づてにすることはない、とのことです。
誰かコロナ陽性の人がいたとして、その周囲の濃厚接触者だったりするときが該当するようなのですが、その「濃厚接触者」の定義の話になりました。
・マスクをしない状態で
・手を伸ばしたら届距離(半径2メートル以内)で
・15分以上
おしゃべりや飲食など、接触をした場合、ということです。
「つまり、マスクをしていれば15分以上半径2メートル以内でおしゃべりをしたとしても、それは濃厚接触にはあたらないわけですか?」
と聞いてみると
「厳密にはそうです」
とのことです。
この前、母に会った時のことなのですが、感染が広がっていましたので、母は飲み食いしていましたけど、私はずっとマスクをはずしませんでした。
オムそばちゃんが母の隣に座って自分も何か飲んだりしていましたけど、5分もない時間です。
おばあちゃんが心配になって私を呼んだあとは、ちょろちょろっといなくなりました。
くるみくんは、別部屋でほとんど閉じこもるような形でゲームしていました。
2メートルどころじゃない距離があいています。
とすると、これは濃厚接触にはあたらない…?
そんなわけはなさそうですけど、定義からするとあたらないわけです。
「母を病院に連れて行くとなるとわたしですが、車に乗せたりあれこれしても、それでマスクをちゃんとかけていれば、濃厚接触にはならないということですか?」
たまに車の窓をあけて換気したり、あまりおしゃべりを濃密にしなければ、そうです、との返事でした。
うーーん。この定義だと…。
コロナ、ひろがっちゃうかもしれないな?💦
だけど、もう多分、政府としても、医療機関としても、これがギリギリの譲歩なのでしょう。
これ以上、定義をきつくして検査をしたとしても、経済活動が停止して、たくさんの人の生活が破綻してしまいます。
(もう既になってますけど…)
緊急事態宣言(が出そうだった頃の話)
心が乱れていて、うまく書けるかわかりませんが最近の状況です。
まだそろそろ緊急事態宣言が再び出るのではないか、と言われていたときのことですが、今少し時間がたっていても、やっぱり心は乱れます。
施設から電話が入りました。
このように感染者数が増えてしまっては、いつも通り面会・外出を許可することもできそうにない…。
わかってはいたことですけど、非常に、非常にがっくりきてしまいました。
自分で考えるよりもずっと、がっくりきました。
ああ、そうですか、と流すことが出来ませんでした。
施設のかたと、押し問答を繰り広げます。
頭では理解できています。
私と同じような状況でも、会えないでいる家族のかたたちがいること…。
母の様子から、施設の方で特別に許可してくれていたこと…。
それでなくても、感染者数は増え続けているので、もういちどこで出てもおかしくありません。
それでも、ここ数ヶ月の見違えるような母の回復ぶりを見ていると、癌よりもそもそも、コロナでまったく会えなかった一年間が母のことを潰したんだという風に思うようになりました。
正しい認識なのかどうかはわかりませんが、そう感じていました。
せっかく今、定期的に会えようになったのを、母も認識できているようになったのに。
施設の方は、
「何かあったとき、責任が持てません」
と言われます。
わかります。
よ~~くわかるのですけど、ウィルスが広がる世界の中で、責任とは一体何だろう?と思う気持ちがあります。
先日書いた、職場の親戚のかたもそうですけど、まったくの無症状で、濃厚接触もしていないのに、全然関係ないところで検査することになって陽性になるという…。
申し訳ないですけど、どうしても許可できませんと言われてしまった後(当たり前で受け入れるべきことなのですが)、荒れて荒れて仕方ありませんでした。
子どもたちが心配してやってきて、あれこれ慰めてくれました。
特に、オムそばちゃんは、最後にお話したときの、おばあちゃんの様子が強く残っているらしく
「おばあちゃん、大丈夫なのかな?死んじゃわない?」
と言います。
きっとあの人は、また見捨てられたと思うんだろうな~!
コロナのことは母は、まったく認識できていません。
スペイン風邪というと、スペイン風邪のことは覚えているのですが、今、それと似たようなことが起きているというのはわからないみたいです。
電話している時から、何となくおなかが痛くなっていたのですが、やまずにズキンズキンと痛みます。
ちょうど、野菜はたくさんもらっていたし、鍋つゆのもとは買い込んでいたので、そのまま鍋になりました。
これがまた、野菜が新鮮だからなのか、すごく美味しいのですが、美味しいのがまたつらいです。
コーヒーがよくなかったかな、と思ってから、じゃあミルクを入れてみようか、食事もお肉が好きだから、ちょっとハンバーグぐらい出してみようか…などと計画を立てていました。
翌日まで荒れた状態は続いたのですが、翌日に施設から電話がかかってきました。
「お母さまがいま、発熱されていまして」
えっ!?
37度8分だそうです。
長い押し問答をしたのですが、するまでもなく、発熱で具合が悪そうならば会えるはずもなかったのでした。
そして、こんな風に言われました。
かかりつけ医さんが、「ご家族が望むなら大きな病院に連絡してPCR検査を」と言っている。
…とのことです。
「大きな病院」というのは、総合病院で、母が癌の余命宣告を出された病院を名指しです。
このあたりではもっとも権威のある、(一応)しっかりした病院です。
私も1日たって、少しだけ落ち着いていたので、ちょっとさらに話しをしました。
先日会ったときにも思っていたことですが、容態もあるだろうし、今は普通に過ごせていても、だんだん体力が落ちてくると、外出というわけにはいかなくなる。
そうなったときは、もうそれこそ、ご臨終の時にしか会えないということなのでしょうか?
病状に応じて、こちらからご連絡さしあげます、とのことでした。
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母子の口あらそい
お正月に会う前のことですが、義母さんが電話をかけて来たことがありました。
ずっとガラケーを使っていたのですが、お友達もみんなスマホを使い始めたらしく、ついに買い換えないといけないかという時期に入っているようです。
行く途中で
「どうなったかな、もう買ったのかな」
と言うとオムレットくんが
「まだ買ってない」
と言います。
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「だってガラケーで写真を撮って、マイナンバー用にパソコンに移したいっていう電話がかかってきたから」
「まじですか」
「あの人たちはそんなもんだよ。まるでわかってない」
そうかなあ
義母さんはすごくしっかりしててパソコンも扱えるし、何よりネットでとてもよく調べます。勉強家なのです。
情報を得ようとする意欲がすごいです。
新聞も経済新聞を取っていますし、隅から隅まで読んでいます。
ちゃんと自分で調べないと損をするのは自分だ、というような感じの意識があって、こういうところはやはり東京の人なのかなという感じがします。
偏見かもしれませんし、人によるとは思いますが、長年の知り合いしかいないご近所付き合いの中で、のほほんとやっていた田舎の人にはなかなか、こういうリスク管理の意識はありません。
(だから狙われるのだと思います)
義父さんも、ものすごくきっちりと調べていくので、役所の人も知らないようなことも知っています。
一度、お二人が作ったエクセルファイルを見る機会がありましたが、それはそれは、うちの会社の中でもなかなかここまで作れる人はいないというレベルでした。
オムレットくんを始め、3人兄弟姉妹は、若干、義母さんをばかにしてるようなところがあります。
ごく普通のおばさんだと思っているのですが、私から見れば義母さんは全く普通のおばさんではありません。
かなり賢い方だと思います。
うちの近所の地区の付き合いを見ていても、なかなかいるかいないかのしっかりした方です。
(こういうことを言っていると、よく親戚からは「媚びている」とか「どうして姑をそんなに持ち上げないといけないの」とか「夫に気を使いすぎ」とか言われてムカつきます...。あなたたちの、そういうことを言う所がないから良いんだよっ、と思います)
着いてから
「スマホは買いましたか?」
と聞いてみると、まだ買っていないとのことです。
オムレットくん、でん!とかまえて
「説明するから契約書出して!」
と言って、赤ペンを手に説明をはじめました。
せっかくの親子の時間なので邪魔をしてはいけません。
横で大人しくポリポリとピーナッツを食べていると、こんな感じです
「それはできないよ」
「でも、YouTubeではそうは言ってなかったけど」
「いやできない」
「そうお?」
「そこはできないんだよ」
義母さん、やっぱり相当に調べているようです。
「でもYouTubeが…」
「できないよっ」
オムレットくん、怒ってしまいました。
義母さんは、キャリア携帯で、言われるがままにガラケーからスマホに変えるのに不信感を持っているようです。
でも、オムレットくんは断然キャリア携帯推しです。
多分、義母さんが計画しているのは、SIMフリーのスマホを買って格安携帯キャリアで契約です。
使い方の頻度からは、それがいちばんいいような気がします。
「だってそんなに使わないんだもの...」
と言っています。
義母さん、私とちょっと話していて、YouTubeの情報とぴったりあっているので、俄然元気が出てきました。
オムレットくんはそもそも、SIMフリーの格安携帯なんて調べたこともないので、まったく知らないのです。
「そうよねー!だってYouTubeって、すごくいっぱい説明してるのよ。書いてあるのを読むよりわかりやすくてさ」
「だめだよっ。今のガラケーから格安スマホに変えるなんてできないんだから!」
昔はそうだったけど…。と言おうとすると義母さん、オムレットくんにとどめをさしてました。
「あんたの情報、古くない?」
オムレットくん、さっきまではちょっとだったけど、今度は、かんかんに怒ってしまいました。
義理実家に帰ったときには、すっかり子どもに帰ってしまうので、意味もなく反抗的になってみたりするので、義母さんよりも全然、オムレットくんの扱いに困ります。
イチョウが見事でした。
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本当は一緒にいてあげたい
もともと、母には、生命力、底力のようなものをいつも感じます。
だからこそ、一人でやれる!家は出たくない!とあれほど抵抗したわけですが…。
空回りもして、あれほど困らせられて、わがままもあるけど、こんなに頑張っているおばあちゃん。
今ほど一緒にいてあげたいなあと思ったことありません。
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皮肉なことに、弱った分だけ、一緒にいて苦痛でなくなりました。
パワフルさが有り余っていた頃は、振り回されてしまってほんとに大変でした。
ここのところは、迎えに行くのも一緒に過ごすのも、ちっとも苦痛でありません。
便の始末は、最初はきつかったですけど、何度かやってみたり、調べたりしているうちに、来てもたまにするぐらいで、全然大丈夫だ、という気分になっていました。
それすらもなくなっていて、今日はおしっこの方も普通にトイレで出来ています。
別に、また便が出るようになったとしても、それはそれでぜんぜん大丈夫のように思います。
たまにですし、自分の母ですから。
母がすっかり元気になり、復活したように思っていましたけど、やはり体調には波がある。
お医者さまの言う、癌も決してなくなったわけではないのです。
こんな風に会えるのも、いつまでになるかなんて、誰にもわからない。
コロナを持ち込むのが怖いなあと思っていましたし、そう言われたりもしました。
責任も考えてはいたのですけど、やっぱり申し訳ないですが、感染対策はじゅうぶんにした上で、会うことは続けようと思いました。
最近はおばあちゃんを連れて買い物には行くようなことはしていないので、車からそのままうちへ移動。
子どもたちも休みに入って、あまり人と接してはいません。
オムレットくんかわいそうだと思っていましたが、考えれみればいちばんあやしいのはオムレットくんの方でした。
幸い、その後何も起きなかったのですが、会わなくて正解だったのかもしれません。
私のかかりつけのお医者さまは、今の感染の広がりはGOTOというよりも季節性のものだと思うと言っていました。
「市中にも相当に広がっているだろうし、やることはかわらないわよ。手洗いとマスク!あとは、ゆっくり休んで疲れをとること、それだけ」
と言っていました。
なので、私もお医者さまを信じて、手洗いマスクを続けながら母に会うことは許されるかぎり続けようと思いました。
さまざまなご意見があると思いますけど、緊急事態宣言も限定的にしたいみたいなのを、ありがたいと思ってしまいました。
どうか、このままで…何とか春になってほしい。
祈るような気持ちです。
* * *
これをぽちぽち携帯をいじりながら書いてるとき、買い物していました。
オムレットくんが荷物を持ちながら、新たにカゴを持とうとしています。
重いだろうと思って、横から持とうとしたら、おそろしい勢いでぎゅうーっと拳を握りしめてしまいました。
ええ…(困惑)
すりだと思われたのだろうか。
と思ったのですが、こっちは把握してるみたいでずっとぎゅーっとしていました。
最終的に三つも四つも荷物を持っています。
義理実家でスウェーデントーチをどうしてもやるといってきかなかったときも思いましたけど、オムレットくんも年をとるにつれて、だんだん頑固になってきているように思います。
みんな、次第に大きくなったり、年を取ったり、変化していくものだなあと思いました。
子どもたちが大きくなるのは楽しいですが寂しいです。
諸行無常な気分になってしまいました。
行く川の流れは絶えずして...と言いたいところなのですが、これは海です。
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えずきが気になる
その日は、パン屋さんにちょうど良いのがなくて、少しカラメルをつけた小さ目のクロワッサンだったのですけど、母はあまり気に入らないようでした。
食がすすみません。
いつものように、すごく食べ物を探すという感じではありませんでした。
ちょっと片付けに行っていると、オムそばちゃんがとんできました。 「ねえ、おばあちゃんすごく具合が悪そう」
慌てて行ってみると、机に手を置いて、そこに顔を置いて...つまり伏せていました。
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今日は、おとなしい日でした。
「あんた結婚してやせんやろうね?」
は定番ですが、あまり話さずに落ち着いています。
それほど具合が悪そうというのは感じませんでした。
顔色も悪くはなく、それに何より、体格が戻ってきていました。
しかしそれも、こちらの油断だったかもしれない。
クロワッサンとコーヒーというのは、胃に良くなかったかな。
気持ち悪くなっちゃったのかも。
すごくたまにだと思い、しかもこれがまたよく飲むので、コーヒーを出していましたけど…。
あったかいお茶にした方がいいのだろうか。
でも、あったかいお茶を湯呑みに入れて出しても、これがまたまったく飲まないのです。
たぶん、見栄えの問題なんだと思います。
今度はお茶をコーヒーカップに入れて出してみようかな?
しかし、この伏せている状態は、施設でも実によくやっています。
今の施設に入ってから、この体制を取ることが多くなりました。
顔を上げると、
「ん?どうしたの」
という感じで普通です。
好きにさせておいてもいいかと思うのですけど、ちょっと気になったのはえずきです。
ゲッゲッと、喉からこみあげてくるものがあるようで、以前に食べ物をすべて拒否していたときも、こういう感じでした。
ああ、吐き気があって食べられないんだな、と思いました。
しばらく見なかったのですけど、今日はこれがあるみたいです。
「オムそばちゃん、ありがとう。よく気付いてくれたね」
と言うと、
「だっておばあちゃん…。おばあちゃん、だいじょうぶ?」
と本人に言ってます。
今まで小さすぎてよくわからなかったんだろうな、そういう風に言えるぐらいまで成長したんだなと思いました。
そして、オムそばちゃんが成長した分だけ、母はやっぱり、衰えている。
背中をさすったり、お茶を入れ直したり、ルイボスティーをあたためてみたりしながら、思いました。
ああ、母はすごい頑張り屋さんだった。
「お母さん、一日一日、力を振り絞って生きてるでしょ」
と言うと、うんうんとうなずきました。
ここに来るのも、歩くのも、食べはじめたのも、すべては外出してうちに来たい、要は私に会いたいばかりで、気力がすべてに優先しているのですが、老いも病もあって、限度もあります。
「少し休むのも大事だよ」
と言うと、またうんうんとうなずき
「ありがと」
と言いました。
そこはやっぱり親子で、よくわかっていてくれて、という感じの言い方でした。
冬のさなかに咲いていたかわいい花でした
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去年最後に会った時
去年、最後におばあちゃんに会った日は、家族がみんなそろっている日でした。
「普段のルーチンを崩さない方がいいかも」
子どもたちを見るのはいい刺激になるのですけど、落ち着かなくなってしまうかもしれないという理由で、かわいそうにオムレットくんは、出て行かされてしまいました。
オムレットくんが、このコロナ拡大の時期にも、どうしても、どうしても、ど~~うしても帰省したいと言うので、おみやげも必要でした。
ちょうど、行く準備を整えていて、トランクに二つほど詰めていたのですが(冬服はかさばります)、トランクも隠されてしまいました。
おばあちゃんが不安定になるかもしれません。
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この時期、コロナが怖すぎるので私もおばあちゃんを相手にしていても、マスクのままです。
今日はよくよく言い含めておいたので、くるみくんもオムそばちゃんもよく動いて、挨拶もしてくれました。
特にオムそばちゃんを見ておばあちゃんは嬉しそうです。
くるみくんは、大きくなりすぎてしまったのです…。
でも、おとなしく静かで、気配を消しているので、邪魔にはなりません。
まずは、手を洗ってもらいますが、泡をたっぷり出して洗っているおばあちゃんを見ていて、途中で私はオムそばちゃんを呼びました。
「オムそばちゃん、見て見て。おばあちゃんの手の洗い方がおじょうさまっぽい」
オムそばちゃんと私の間では
「おばあちゃんのおじょうさま度」
は笑い話のようになっています。
というのも、おばあちゃんがただひたすら性格でわがまま、と思ってほしくないなあというのがあって、こういう環境で育ってきたから無理もないところもあるんだよ、という風に伝えたかったのです。
オムそばちゃん、飛んできました。
「ああ~、終わっちゃった」
すると、オムそばちゃん、おばあちゃんにせがみます。
「もう一度やってみせて」
するとおばあちゃん、もう一度洗い始めました。
でも、なんだか様子が違います。さっきよりもぜんぜん荒っぽいです。
「あら、さっきと違うな」
さっきは本当に、しとやかにゆっくり、しっかりと洗っていました。
そして、蛇口をパン!と叩いてしめました。
オムそばちゃん、大笑いです。
それからオムそばちゃんは、おばあちゃん用に入れたコーヒーを、コーヒー牛乳にしてもらっておとなりで飲んでいました。
おばあちゃんには、豆でコーヒーを入れます。
それで、家の中で一番よいカップを使って出すので、そのカップがうらやましいのです。
最近、おばあちゃんが来る日にオムそばちゃんはずっと習い事で家にいませんでした。
それで、珍しさもあるようです。
おばあちゃん、定番の「結婚したかしないか」よりも、オムそばちゃんを見てすぐに孫だと気が付いたみたいです。
リビングのカウンター席に座って、おさらをふいているオムそばちゃんをじいっと見てニコニコしています。
うちのリビングカウンターは敷居がないので、対面で話ている感じがあります。
ただし、料理のにおいや油汚れなどは、リビング全体にまわってしまいますが…。
今日は、この敷居のない形の炊事場にしておいてよかった、と思いました。
おばあちゃん、オムそばちゃんを見ながらわたしに
「この子誰に似てるんかね?オムレットくんかね?」
と言いました。
実に自然な感じでその名前は出てきました。
もう、父の名前すら怪しいのに…。
「おとうさん」としか呼べずにいて(存在はまだ残っています)、私のことだけが一番強い記憶のようです。
だけど、やっぱり残っているんだな。
結婚したかどうかをしつこく確認するだけ、オムレットくんのことも強烈だったのかもしれません。
くるみくんのことは、ちょっと眉をひそめて
「だれかおる」
と言っていました。
トイレは、今日も大きい方はしませんでした。
それどころかなのですが、家に入ってすぐに
「トイレに行きたい」
と言ったので、すぐ連れて行きましたが、おむつはまったく濡れていませんでした。
取り替えてくれたあとだったのか…と思いましたが、座って普通に自分でトイレします。
拭く、ズボンを上げる、あたりは介助が必要なので、やっぱり見ていないといけないですけど、これはまったく問題ありません。
あまり時をおかずにまたトイレと言いましたけど、これだと、頻繁ではあっても、おむつに垂れ流しという状態ではないので、こちらも心が楽です。
おばあちゃん、トイレも復活したのかなあ。すごいなあ。
相変わらずの小田原城です。
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