壊れたレコード 2
子供たちももうすぐお休み、それからは新学期のはじまりです。
くるみ君にスマホを買ってやる約束をしたのですが
頑固なので使い方できっと喧嘩になるもきっと頑固なことでしょう。
今から頑が痛いです😥💦
~~ 壊れたレコード 2 ~~
「いやいやちょっと待って、お母さん」
驚きと失望のあまり、強い口調になってしまいました。
「え、何?帰る時、一緒にマンションを探す話をしたよね?」
「マンション?」
「こっちに引越しするように、夏に部屋を探そうって・・・」
「は?何のこと?」
いくら言っても母は???という反応です。
完全に忘れている。
ショックでした。
やっぱりおばあちゃん、かなり「ぼけて」きているんだ。
実は私は、認知症サポーターの講習を受けたことがあり、オレンジのリングも持っています。
ですがその時もまだ、全く認知症という言葉は思い浮かびませんでした。
どちらかというと、「痴呆症」かと思っていました。
その違いもその時ははっきりしていなかったのです。
一応、講習を受けたときの漠然とした知識として
「忘れている人にどうして忘れたのか問い詰めてはいけない」という認識だけは持っていました。
記憶を定着させないといけない。
我慢強く、何度でも話そう。
しかし、その前に…
「わかった。お母さん、ちょっとその関西のホーム調べてみるから待っててね」
「調べてみる?調べられるの?」
「うん。だって本当にそんな場所があるのか、今でもお勤めされてるのか、調べてみなくちゃわからないでしょ。ちょっと待っててね」
電話を切りました。
わたしはパソコンを開き、母の言うこの「関西のいとこの老人ホーム」が存在するのかはじめて調べました。
今まで、まともに話を聞いてこなかったのです。
母に、どこの人なのか、名前の綴りまで詳しく聞きました。
叔父に電話すると、何かが決定的になってしまいそうだし、親戚に電話するのは恥ずかしくて話をしたくなくて、ネットで調べました。
母の記憶はかなり曖昧でしたが、その「いとこさん」の名前や、住所を聞いていて、母の昔話が思い出されてきました。
このいとこの方というのは、母が昔お見合いのようなものをセッティングされたことがある方でした。
お医者さんだったので、母にとっては
『良縁を逃した!あの時結婚していれば今頃は医者の妻だったのに・・・!』
というステイタスが忘れられなかったようでした。
母は見栄っ張りでプライドが高く、差別的な言動も隠さない人です。
いつまでもそのエピソードをご披露するので、親戚や母の兄弟姉妹たちは皆、嫌がっていました。
今思えば、相手の方も迷惑していたように思います。
ちょっとエゴサーチした程度でわかると思っていなかったのですが、名前で検索をかけると、ヒットがありました。
本当に同一人物なのかどうかわかりません。そこまで確認しませんでした。
言い方は悪いですが、母の希望をつぶすために探しているだけのことなのです。
→→ 壊れたレコード 3 に続く