相談 4
私が忘れられないおふくろの味の一つは、「しそにぎり」です。
母は梅干を自分で漬けていましたので、そこに大量の赤じそを入れていました。
それを生っぽいまま(ゆかりにせず)刻んで、ごはんに混ぜておにぎりにします。
大好きでしたが、今は生の赤じそ漬けがなかなか見つかりません。
ごくたまに、スーパーで見かけます。
ネットで買うこともできます。
しかしやっぱり自分で漬けたいのですが、時間がありません。
でもいつかきっと…!
赤っぽい、華やかなおにぎりになります。
あまりまぜるとねばりが出るので、おはしでさっとまぜます。
こうして書いていると、つばが出てきました。
~~ 相談 4 ~~
お話では、今回の騒ぎは認知症というよりは、性格8割でとにかく私に反発して起きたこと、意地になっているだけなのではないか、ということでした。
認知症であるとすれば認知症の対応である「本人の意思にさからわない態度」を取れば良いが、そうではない。
だとすれば、意思を変えるのは難しい。
なるほど…。
「様子を見ながら精神科の受診も考えてはどうでしょうか」
「先生に相談してみます」
認知症であるかないか、の境目はとても曖昧な気がしてきました。
本人の意志と、行動と、生活(できること)がかみあわない…。
単純に認知症の診断や、介護度だけでははかれないものなんだなあと思いました。
今まで何度もケアマネさんから「介護度」の話は聞いていましたが、これがこれほど関わってくるとは、まだ私にはぴんときていませんでした。
(母が見た目はシャキシャキ元気だったからでもありました)
お話を終えて、母の部屋を訪れました。
母はベッドに座って、恨めしそうな顔をしていました。
「とりあえずね、お医者さんにかかるまでは行かない。今日は帰らないでいてあげる」
と言います。
私が答えようとすると、耳をふさいで体をゆすっていました。
お金のことが気になります。カバンを目で探しました。
今日はベッドの上に置いてあります。
肌身から離している!
母は
「あんたはお金をうまくやったと思ってるでしょうが、こちらでちゃんとしましたからね~!」
と言ってました。
あれは何だったんだろう?
気になって、トイレに行っている際に悪いとは思いながらカバンを確認してみました。
うわっ!!
大金が引き下ろされてる~~!!!
限度額限界まで引き出してるみたいです。
昨日の大騒ぎが、すべて腑に落ちた気がしました。
帰る帰るとあれほど騒いだ理由はこれだ…!
郵便局を探し当て、自分で通帳を使って出金したのです。
お金が、母に気力を与えてしまったのかもしれません。
すごいなおばあちゃん。
知らない土地で一人でバスに乗り、郵便局を探し当てて出金した。
そのあと、バスで帰ってきて荷造りもしようとした。
ちょっと感心してしまいました。
母は、わからなくなると物怖じせずにガンガン人に聞く人です。
今回もきっと
「郵便局はどこですか?」
と聞きながら、たどりついてしまったのだと思われます。
「ちゃんとしましたから~」と言ったのは、このことだったんだ!!
「今日は帰らない」と言っているし、刺激してはいけないと思い、そのままにしておきました。
(母は、基本嘘は言わないので、「今日は帰らない」と言えば帰りません)
施設を出て、自分の中で気持ちの整理をしました。
→→ 閑話 昔話 母の生い立ち に続く