奇妙な事件 2
くるみくんはご覧の通り、おばあちゃんのことをよく見ていてくれたりと本当に優しい子なんですが、親としてはとても辛い悩みが一つあります。
それはお弁当を食べてくれないことです!!
くるみ君は昔からお野菜が嫌いで一切口にしようとはしません。
見張っていて怖い顔して見ているとしぶしぶ一口食べるというくらいです。
なので、お弁当の残りを始末するのが辛くて、お弁当箱は自分で洗ってもらっています。
一時期には見栄えをよくしてみたり、お肉を増やしてみたりしましたがやっぱり変わりませんでした。
キャラ弁が好きではありません。
私の料理がまずいから!?と思ったのですが、お父さんのお料理も食べません。
外食しに行ってもほとんど食べません。
くるみ君が作るのは、自分で作ったお料理だけ!!!
しかもこれがまた結構美味しいので、舌が肥えすぎているのではないかと思います。
先を想像するのが恐ろしいです。
~~ 奇妙な事件 2 ~~
母から緊迫した電話がかかりました。
「どうして、どうして~~!どうして電話に出ないの~!!!」
施設の電話を借りて、かけてきたのです。
「だってお母さん1日に20回も電話かけてくるんだもん、仕方ないでしょ。生活できないよ」
私は、母の電話をブロックしていたのです。
かける時はこちらからです。
「そんな!私一日に二回くらしかかけてないわ!しかもやっと繋がったのは今が初めてよ?」
「そんなことない。毎日めちゃめちゃかけてくる。履歴になって残ってるから!」
そんな会話を交わしたのが木曜日、もともと会う予定になっていたのが金曜日です。
「一体何だったの?あれは」
母が覚えていないのは仕方がないと思いながら、世間話のつもりで一応聞いてみました。
認知症だからといって、覚えていないと決めつけて相手をするよりも、どちらかというと健常者として嫌なものは嫌・ダメなものはダメ、という風に扱っていた方がいいと思っていました。
母本人も分からないとはいえ、どこかで普通に扱っている、いつもどおり対等に話している、という意識が嬉しいという方向に働くようでした。
老人だからって、認知症だからって…赤ちゃんのように接していいというわけではないんじゃないか。
そう私は思っていました。
なので、いつもどおり母に不機嫌に聞きました。
すると母が言います。
「あんな、〇ちゃんからお金を貸してくれという電話がかかるんよ」
「えっ?」
しばしばかかると母は言います。
「あんたどうして?どうして私がそんなの貸さないといけんかえ?こんな老人になって、こんな所に住んで。そんなこと出来ると思う?って私は言ったの。そしたら黙ってしもうてね」
す…すごく、具体的です。
果たしてこれは、認知症特有の被害妄想なのか?
迷いました。
黒い三人の男…。
〇ちゃんというのは、確かにもうずいぶん交流のないお知り合いです。
もし違っていたとしたら、ものすごくとんでもない風評被害です。
訴えられそうです。
どこかで、(また言ってる…)というのもありました。
ですが実は、かけてきた方というのが、確かにそういうことをまったく言わないかというと、言いそうなことがある…かも…しれない人なのです。
でもまさか。
風評被害…三人の男…被害妄想…。
もやもやしながら家に帰りました。
以前、そういえば施設から、
「母がお金の無心の電話があったと主張している」
と言っていたな?
その時に名前を挙げていたのと、今度の人は同一人物でした。
そして、家を処分したタイミングです。
あの時、あーまた言ってる、事実ではない、と断定してしまっていたけれど…。
母が興奮して私に連絡してくれ!!と言ったのもまったく同じだ。
どうしようか?
そうだ、どうして思いつかなかったんだろう。
今度会ったら母の携帯の着信履歴を見て見よう。
それでも何もわからないかもしれないけど。とりあえずそうしよう。
→→ 奇妙な事件 3 に続く