今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

廊下と老化

 

久しぶりに、おばあちゃんの所にくるみくんを連れて行きました。

 

友人には「欝っぽくなっている原因から距離を置いたほうがいい」と言われましたがそうもいかないものです。
落ち着いてて無口なくるみくんが一緒にいると、こっちもなんとなく落ち着くような気がしました。

 

おばあちゃん、この前はちらっとしか会わなかったけど今回はどうかな…。

 

いつも頻繁に来ていた私がなんとなく足が遠のいているので、施設のかたも気を使ってくれています。

 

 

 

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おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

 

 

おばあちゃんの所に行こうとすると、入り口(内部)で言い争う気配がしました。戸口のすぐ向こう側です。
思わず、うちの母!?と思ってしまうぐらい、似たような争いでした。

 

どうしても出たい。出なければならない。帰らないといけない。迎えに来るから待っていないといけない!!!

 

二階のチーフのかたが、辛抱強く説明しています。
来ますからね、ここではなくて中で待って下さいねと説明しています。
けど、なかなか納得しません。
入り口でもめているので、こちらが開けてしまうと外に出てしまいそうです。
声もかけにくくて、くるみくんとしばらく黙って待っていました。

 

長いこと話していて、やっと戻ってくれました。
入り口の向こうで
「はー」
と職員さんがため息をついている声が聞えて、もういたたまれない雰囲気でした。

 

大変さは、預けたから、プロだから、ですませられるようなものじゃなかった…。
そう思いました。

 

やっと中に入れました。

 

おばあちゃんは、今日は私のこと、思い出しました!
「あら~?あら…」
と言いながらも私の顔をじーっと見て
「あんたよう来たね。あたしのうちに来てくれたの?」
と言いました。

 

いつもなら、
「よう来てくれたね、そろそろ帰らないとね!」
となるので、これは本当にいい出だしでした。
ほっとします。

 

そして、一緒にひさしぶりにおじちゃんに電話しました。

 

おばちゃんは骨折して、やはり母と同じように認知症の診断をもらいました。
その後、ヘルパーさんが入り、デイサービスを使って過ごしているようでしたが…。

 

おじちゃん、弱音を吐いていました。

 

・夜に一時間おきに起こされるので眠ることができない…
・おかしな言動をするので、相手をするのが大変だ…
・薬を間違えて飲んでしまう…

 

もう、母の初期症状そのまんまという感じです!

 

自分はグループホームに入ってだいぶ落ち着いたんだけど、施設は考えているの?と聞くと…

 

「それがのう、このあたりはどこもいっぱいでとても無理なんじゃ。申し込みが長い列を作っててのう、いつになるかわからん」
と言います…。

 

グループホーム、私はいくつか訪問しましたが、空きもあるにはありました。
現に今も、すごく近くに一つ出来ましたし…。
オムレットくんと話しましたが、やはりこの辺り(関東周辺)はまだ人口が集中しているだけ、入る人も出る人も多く、流動的なのでうまくはまれば入れるのだろうと言ってました。

 

田舎はそれはそれはすごいだろうと思います。
若者はいないし、年よりは増えていきます。

 

なんだかすごく気になったのが、おじちゃんが
「だめと言ったのに酒を飲んだのが悪かったんじゃ!」
「薬を間違えたから良くなかったんじゃ!」
とおばちゃんを責めるような言動をしていたことでした。
わかる、わかるのですが…。

 

それは、まともな判断が出来なくなるのも間違えるのも、すべて老化であって自然現象なんですおじちゃん!
…とはとても言えませんでした。
一応、言ったのですがまったく耳に入っていない感じでした。
おじちゃんもまた、年を取っているのです…。

 

 

いとこたちもやっぱり心配しています。
たくさんいるいとこたちは、全員関東です!
わたしはちょうど第二次ベビーブームの世代なので、それはそれは周囲に子供があふれていました。
その子供たちが全員、地元を出てしまっているというのはすごいことだなと思いました。

 

仕事がないから?
子供を育てやすいから?
田舎の価値観が住みにくかったから?

 

一極集中化の縮図みたいです。

 

母から私に電話の相手が代わってから、おじちゃんの話が長くなってしまっている間、おばあちゃんはたいへん落ち着きがなくなりました。
「帰る帰る」と言いますが、それはどうやら、いつも一緒になって座っているお友達の所に帰りたいというようです。
そのこと自体はありがたいのですが、せっかく来ているのに変な話です。
くるみくんがずっと穏やかに話をしていてくれました。

 

電話が終わると、母は憤懣やるかたない、といった顔で
「あんたせっかく来たのに人んちで電話ばっかりして、あんまりやわ!!」
と言いました。

 

それは確かにごもっともなので、私も笑ってしまいました。
骨折などまるでなかったかのようにしゃかしゃか歩いています。
それ自体はありがたいのですが、また転ばないといいがなあ…と思いました。

 

 

 

 

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どろぼう猫プレート(くろねこ)