目印のたぬき
そろそろ介護保険証の切り替えです。
2月末には切れてしまうので、古い介護保険証を取りに来て、市役所に行って欲しいという電話がグループホームからかかりました。
これ、今まではケアマネさんにすべてして頂いてたので、自分で市役所に行くのは実ははじめてです。
古い保険証はグループホームに預けたままになっていますので、取りに行きます。
ホームに保険証を受け取りに行くとき、いつもとちょっと違う道を行ってみました。
本来はこちらの方が早いはずです。
ケアマネージャーさんにも、オムレットくんにもそう言われていました。
しかも多分、慣れればわかりやすいです。
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でも方向音痴で土地勘もない私は、いつも遠まわりなれた道ばかりを使っていました。
一つ曲がってまっすぐ行けば、もう一つ曲がるだけで着けるはず。
偶然にもその一つ曲がるところは、以前おばあちゃんがお世話になっていた自立型施設のすぐ近くです。
その前を通ると、たくさんの思い出がよみがえります。
あの玄関前...おばあちゃんともみ合いになって噛み付かれたなあ…。
おばあちゃん、速足であそこから出て歩いていたなあ…。
二年間、お世話になりました。
やるせない気持ちでいっぱいになっていたのもそちらを避けていた原因でした。
しかし、人は忘れるもの。
だんだん薄れてきたので、やはり近くてわかりやすい道がいいと思いました。
そして、最後の目印はたぬきです。
大きな信楽焼きの置物が置いてあるお店を、右に曲がればいいのです。
しかし、行けども行けどもたぬきが見えません。
だんだん不安になってきました。
もしかしてたぬきを見過ごして追い越してしまったんじゃないだろうか…。
必死で道沿いにたぬきを探します。
たぬき…たぬき…ありました!
大きな人ぐらいの背丈がある信楽焼きが背中を向けて立っていました。
思ったよりもずっと大きくて、これを見過ごしようがないという感じでした。(オムレットくんより大きそうです)
ほっとしてそこを曲がりました。
保険証を市役所にもっていき、書類に記入して認定調査の予定を受けとります。
(認定調査の日取りもわりと問答無用な感じでした)
以前、母が見た目はまだかなりしっかりしていて、認知症であるかないかの境をいったりきたりしているときには、当時のケアマネさんが配慮してくれました。
お薬を抜いたりして、本当に大騒ぎで大変だったな…。
今の母は、かなり記憶が曖昧で会話も支離滅裂、生活が無理なのがよくわかります。
あれから2年です。まだ2年。もう2年。
2年でこれほど変わってしまうものなのか。
割とつらいのは会話です。
いちいちダメージを受けてしまいます。
それももう忘れてしまったのか…。それも覚えてないのか…。
ひとつひとつ抜け落ちて、置いてきたものが点々と母が歩いた後に落ちている、そんな感じです。
子供が一つひとつ出来ることが多くなって喜ぶように、ひとつひとつ出来ることが少なくなって行って、覚えていることが少なくなっていって…。
それを第三者的に見てるのがつらいです。
しかし、こんな風に出来るのも、おそらくまだ歩けている今だけだと思いました。
なるべく母の所に行って、会話してあげたいと思います。