忘れるということ
オムそばちゃんが最近書いていたブログを読んでくれて、
「お母さんのブログ面白いよ!」
と言ってくれました。
まあそれは、うちのことを書きとめているのだから興味もあって面白いでしょうけどね。
おまえさんのことですけどね!
オムそばちゃんが面白いと言っているのは、どうもたぬきの所っぽいです。
お父さんも複雑でしょう。
しかし、おばあちゃんのことが一段落ついた今、こうして毎日来てくださって読んでくださっている方には本当に感謝です。
「仕事をしにいくのでカフェに行くけど来る?」
とオムレットくんが聞きます。
一緒に来る?と子供たちにも聞きましたが、どちらも
「いい。家にいる」
と答えます。
これはもう、目的はわかっています。
ごくごくたまに親が二人そろって出かけた時だけは、ゲームを解禁してもらえるのです。
どこに行こう…。
子供たちに内緒で、ケーキのたいへんおいしい喫茶店に行ってしまいました。
ケーキ屋さんのやっている喫茶店です。
なのでもうケーキのおいしさは折り紙つきです。
座って頼んでから、さてとオムレットくんはかばんから鉛筆とノートを取り出し、わたしはパソコンを広げました。
ところが様子がおかしいです。
オムレットくん、かばんのそこらじゅうをあちこちさぐっています。
とても何も入らなさそうな、コートの小さなポケットまで探しています。
がっかりした顔で言いました。
「仕事用にやろうと思って印刷した紙、忘れてしまった」
うーん。
かける言葉も見つかりません。
車で出てしまったので、ちょっと遠くまで来てしまいました。
おまけにこの日は雨でとても寒い日でした。
子供たちが出たがらなかったのも無理はないです。
すっかり出鼻をくじかれて、しおれてしまったオムレットくん。
このときの話を、オムそばちゃんを寝付かせるときに話していました。
「可哀想になあ。お父さんはなまじ記憶力に自信があるからすごくがっかりしてかわいそうだった」
おいしいケーキもあまり味わえないような雰囲気でした。
それと言うのも、オムレットくんはきちんと予定を立てて動くのが好きな人です。
そして、その日は日曜日だったので大河ドラマ(BSの)を見るためには何時までに帰りたい、と決めていたのです。
仕事して、買い物をして、帰ってドラマを見る。
忘れものを取りに帰っていると、もう間に合わない感じでした。
「年取るっていうのは出来てたことが出来なくなることなんだよ」
言いながら、なんとなく母のショックを受けた顔が思い浮かびます。
そういえば、母も記憶力にはすごく自信のある人でした。
奇妙なところでオムレットくんと似ているな、と思うことがあります。
(逆に、わたしも義母さんと似ているところがあったりするな、と思うときがあります)
「どうして!?あたしが!?どうして…?そんなはずない」
と落ち込んでいたおばあちゃんを思い出します。
「自信持ってたことだったらなおさらショックだよ。それはとてもつらいと思うよ。だから忘れる人をばかにしたらいけないよ。おばあちゃんのこともね!」
自分がおばあちゃんの忘れることで不満を言っていると、子供たちまで便乗してばかにするような態度を取るので、言っておかないといけないな、と思いました。
オムレットくんのことを話しているつもりが、途中でおばあちゃんの話に自分の中で切り替わってしまったので、まるでものすごくオムレットくんがボケてしまっているような感じの話になってしまいました。
そこまでではないのに。
まあ、年相応に忘れるようになってきた、という程度です。