今日もまた違う一日

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おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

おじちゃんの話 4

 

オムレット君が
「いや~お前もおばあちゃんなぐったりかまれたりしてたよね」
と言います。

 

おじちゃん、おばちゃんは二人きりで住んでいる…。
そう考えながらオムレットくんを見て、なんとなく不吉なイメージが浮かびます。
このひとが徘徊するわたしに苦しめられて、わたしに手をあげている。
そんな不吉な予感です。

 

 

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おばあちゃんが認知症になったお話 → 目次

 

 

私がおばあちゃんのようになってしまうんではないかと思ってしまうと言っていたオムレットくん。
このままではもう無理なんだよね子供たちが大きくなったら離婚すればいいと言ったオムレットくん。

 

あのあと、忘れた!絶対に覚えてない!と言い張っていたのですが、どこかに将来に対する不安と本音を見ました。
私はあの頃、本当におかしくなっていたと思います。

 

本当に今ではあの全てが全く何事もなかったかのように…(コロナ騒ぎでおばあちゃんの所に安易に訪れることができないからでもありますが)、どちらかというと、オムレットくんは埋め合わせをするように一生懸命、こちらを気遣ってくれている感じがしている…そんな生活をしているのですが…。

 

もしかしたら、オムレットくんも同じことを考えていたかもしれません。
「こうなってみると本当に、子供がいないってことは…」
とぽつんと言いました。

 

今の世の中はちょっと一昔前ならdinksと言いましたけど、子供を産まないという選択肢もあってもいいという、そういう論調が世の中に溢れていました。
そしてそれに対してかたくなに否定する人も私は見ました。

 

その時は一体どうしてそんなに反対するのか分かりませんでした。
子供がすごく欲しくても産まれない家だってあるし、自分の老後を見てもらうために子供を産むなんてそんなのは自分勝手な考えだと考えていました。

 

うちのマンションのお隣に、とても感じの良いおばあ様が住んでらっしゃいました。
うちの母と同い年で、もう本当に記憶力の低下が不安で不安でたまらないとおっしゃって、姪ごさんに頼んで老人ホームの方に引っ越されました。
その時の、もうどうしようとすごく悩んでいらっしゃる時の表情やお話をとてもよく覚えているのですが、寂しいとかでは無く、とにかく不安。

 

不安が一番強いと感じました。

 

相性もありますし、こどもがこんな親のすべてを背負えるかというと、こどもでも難しいのですが。

 

ですが、少なくとも…一対一の顔を合わせたほかの誰もいない状態よりは、まだ、ストッパーがあるかもしれない。

 

今はお子さんも介護を拒む人も増えていると聞きますし、兄弟姉妹で見ることも大変...。

 

そんなことのために産め産めもやっぱりおかしい。
答えの出ない問題なのですが…。

 

おばちゃんが徘徊が出て、ひどく落ち着かなくなっている様子がなんだかわかるように思いました。
母のことがあったからでもあるのですが。
それはやっぱり、小さい頃からずっと可愛がられてきたからでもあります。

 

母とぶつかったときに、いつもあたたかく受け入れてくれたおばちゃんが、こちらにかけてくれた心があるので、おばちゃんの心もなんだか伝わるような気がします。

 

介護施設が決まって…。
何が何だかわからないまま、自分が変わっていく。
自分の内部も外部もかわっていくし、ずっと一緒にいたおじちゃんも変わっていく。
どこかわからない場所に連れていかれようとしている。

 

忘れてしまうけれど、わからないけれど、でもわかっている部分もぜったいにあります。
どうしようもないことも、そっちの方が絶対におたがい、ご夫婦のふたりにとってもよいこともわかっている。

 

けれど…不安で仕方がない。
戻ろう、戻ろうとする。昔のあの幸せだった頃のどこかへ…。

 

せめて子供たちには、「大変だ大変だ」と言うだけではなくて、どこが大変なのか。
どういう風になってしまうのか。
おばあちゃんにもおばちゃんにも、心はちゃんとあって残っていることも。
行政のことも、年金のことも…そこの所を、きちんと伝えておかないといけないな、と思います。

 

 

 

 

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