美白コンプレックス
もう、秋になってきたのでだいぶましになりましたが、夏は暑さが本当にひどいものでした!!
「お母さま、身なりにすごく気を使われますね~」
と施設のかたに言われます。
「日焼けすると仰って…」
「昔から、ものすごい美白派なんです…」
認知がすすむと、身なりを構わなくなるといいますが、母は比較的、まだ身なりを気にする心が残っているほうです。
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通院で会ったちきはもう本当に、長年日の光にあたっていない人のように、すごく白くなってました。
コロナもありましたし、いったいいつから外に出てないのだろう…とちらっと思いました。
古いですけど、壊血病というか、日に当たり過ぎないことによる影響もちょっと心配です。
そういえば、母は小さい頃から 私の事を色が黒い黒いと言っていました。
1年に数回ならば いいのだけれど 一週間に3、4回言うしつこさです。
私はその母のくせが大嫌いでした。
子どもの頃から思春期から、おとなになるまで、ずうううっと言われ続けてきて、やめてほしいとか、もうわかったと言ってもぜんぜんむだです。
「いやなら伝えればいい」
とよく言われたりしてるのですけど、言ってもやまない場合というのは確かにあります。
結婚して遠くに行くことになってちょっとほっとしたのも、もうこれを聞かなくてすむというのもあったかもしれません。
母がこっちに来ることになった当時の話ですが、今度はオムそばちゃんのことを、会うたびに色が白い白いと言ってました。
あ~、また言ってる!
しかし、うらやましいことに私とは違って「白い」と言っているので、いいのかなと思ったのですが…。
オムそばちゃんも、特に嬉しくなさそうです。
しかも、あまりにも言われると
「また!?それもう聞いたよ!」
と言って怒った顔をします。
ときどきは、
「おばあちゃん、人の容姿についてあれこれ、言っちゃいけないんだよ!!」
などとお説教します。
あっ…たぬきたぬきと言ってごめんなさい…という気分になります。
昔でもだめだったのに、認知症が入ってしまってはなおさらダメです。
このくせは治りません。
また言ってもわからないんだよということが、子どもにはわからないです。
わからないふたりにはさまれて、どうしたらいいのかわからないままでいました。
オムそばちゃんが白いといわれる、その度に私も、いらんこと思い出します。
黒い黒いと言われてきたことを。
言い返しても意味がないことはわかってるのですが、かといって言い返さないとそれはそれでストレスが溜まるので、言い返してもしなくても、結局ストレスが溜まることになるという、最悪の悪循環です。
まだここまで認知がすすんでしまう前野ことでしたけど、ぽろっと漏らしたことがありました。
「私(おばあちゃん)は色が黒かったから 美人だとは言われてきたけれど それだけが欠点だった」
そうか黒いというのは 私のではなくて 母のコンプレックスだったのだなあと思いました。
すごく自分の容貌に自信をもっていたし、褒められることも多かっただけに、色白だったら完璧なのにね!というのがすごーくあったみたいです。
裏を返せばそれだけ容姿に執着が深かったということだと思います。
今更ですけど、そんなもの娘に背負わせないでほしいな~!と思います。
今となっては、わたしもオムそばちゃんも、オムレットくんにつれられていく焚き火だの何だので、すでにまっくろくろです。
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