今日もまた違う一日

今日もまた違う一日

おばあちゃんが認知症になった時のお話です。

母と格闘 2

 

食べてなんかやるものか!というその様子を見ていると、ムカつきのあまり気分が悪くなってきました。

 

「わがまま!最悪!いっつもそうだった、ずっとそうだった!」
きつい言葉が出ました。

 

母の体をつかんで、ガクガク揺さぶっていました。
母もキッとなりました。
「あんた、親に対してその態度は何なの!?」
聞きなれた台詞です。
こんな風になってしまった今では、懐かしさすら感じました。

 

 

 

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DVの人がよく、「そうさせてるのは向こうだ」という言い方して責められていますけど、本当にこんなことを言ってはよくないと思いながらも、その言い分の一端がわずかながらもわかる、と思うときがあります。

 

子どものわけのわからないこだわりのわがままに対しているときにも、思うときがあります。

 

表現力や、意志を伝えるというのは諸刃の剣であるような気がします。
私はよく、取っ組み合いのけんかを母としていました。

 

父は絶対に手を上げない人だったなあ。
その代わり、おなかに全部ためてためて、さっさと死んでしまった。

 

心臓が痛い痛いと言ってたけど、どの病院に行っても何もなくて…。
肋間神経痛だって言われて、突然死んでしまった。
私が今通っているお医者さんも、肋間神経痛じゃないかっぽいことを言っているなあ。
なので私は「肋間神経痛」という言葉を頭から信用していないけど、一番近いのでこのお医者が行きやすい。

 

私も、父も、こんなに心臓が痛むのも、疲れるのも、全部母のストレスからだったじゃないか。
オムレットくんのことだって…。
そんな風に感じて、ムカつきがおさまりません。

 

母を突き放した後は、耳にイヤホンを刺してしまいました。
これ以上イヤそうな言葉の端々を聞くだけでも、また揺さぶったり突き飛ばしたりしてしまいそうで、シャットダウンするしかなかったです。

 

せっかく来ているのに…。
せっかく入れたのに…。

 

イヤホンは、ワイヤレスなので母にはよくわかりません。
何か言ったり目を吊り上げたり嫌な顔したりしてますが、聞えません。
黙々とサンドイッチを食べて、お茶を飲んで、携帯を見ていました。

 

元気になってもらいたいという施設の方の気持ちはよわかるのですが、もう意に沿わない生活をするぐらいなら死んだ方がいいという断固とした母の気持ちもそれはそれで尊重しなければならないのではないかという気がしてきました。

 

そのうち、母は背中を向けてまた横になってしまったので、イヤホンははずしてしばらくじっとしていました。

 

リビングの方から、演歌のカラオケの歌声が聞えてきます。
好きな人がいるのでしょう…。
母はクラシック一辺倒だったので、演歌、それもすごくベタベタのは、低俗だなどと言ってばかにしている所があります。
気位の高い人なのです…。

 

こうしてじっとしていると、施設特有の匂い、聞えてくる気配、すべてが、母が「ここは自分に合わない」と思い、気分が悪くなっている理由もわかるような気がしてきました。

 

母はずっと背中を丸めてますが、ちょっと振り返って私を見ると、さっと起き上がって、すたすたと部屋を出て行ってしまいました。
ぴしゃっと扉をしめていきました。

 

すごい敏捷な動作です。
ぜんぜん、骨折して車椅子になるかもしれないとか、食べていないので体力がなくなってる、などという感じがしません。

 

むしろ若返ったかのように見えました。
適当なことを言って流したりしない、久しぶりのガチンコの喧嘩で、正気づいたところもあるのだろうか…。

 

なるべく、他の人と交わらないようにとも言われていたし、部屋を出るのも何だし…。
最近は部屋にこもってばかりと言っていたから、はからずも部屋から出すことはできたわけです。

 

興奮が冷めてくると、私もまた物悲しくなってきました。

 

母がいたいと思うのは、もちろん施設ではないのですけど、私の家でオムレットくんや孫たちと一緒、とかでもないはずです。
もう今はない、売ってしまった実家のあの家で、私と二人で暮らすことだろうと思います。

 

それももしかすると、私と暮らすのでもなくて、気ままに 一人で暮らしていて、たまに私が訪れる、というぐらいが一番望んでいる形なのかもしれません。
もう望めないことを望んでいる母が悲しくなりました。

 

少し気になるのは、骨折した時、毎日食事は母は完食していたと聞いていました。
とろみ剤を~なんて言われて買っていたのですけど、普通に使わなくても食べていて、とろみ剤も余ってました。

 

施設のかたが心配して来てくれて、少しお話しました。
点滴をすすめられます。
点滴…。

 

 

 

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すごく立派な蜘蛛が、あみを張っていました。

 

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