巴里のアメリカ人
母が私の結婚したのに驚くのは恒例です。
毎回、色んな方法で驚いています。
今日は指輪で気がつきました。
同棲とか、男の人と暮らしてるとか(同じかな?)、結婚したとか、色々です。
でも、わたしのことを覚えていてくれるだけありがたいかもしれません。
結婚するとき、母はずいぶん騒ぎましたけど、やっぱり今でも
「それはショックやで?」
なんて言ってます。どんだけだよと思います。
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「お買い物は危ないかな、家は退屈じゃない?」
と聞いてみると
「わからん!」
と答えます。
そして、
「わたしゃ、ばかになってるから。ばかだからわからん」
と言います。
そんな風に言わないで欲しいな…。
施設の中に入ると、けっこうな大音量で、昔風の音楽が流れていました。
「あかりをつけましょ、ぼんぼりに…」と似たような曲調のあれです。
母はこういうのを田舎臭いとすごく嫌うので、いやだろうなとちらっと思いました。
かといって、常に大音量でクラシックをかけていても、やっぱり微妙な感じがします。
クラシックといえど、演歌といえど、それぞれ好みがあって、かけないでいて欲しいという時間だってあるでしょう。
きっと、よかれと思ってかけていてくれると思うので、難しいです。
「音楽かけてるのいやじゃない?お母さん、ああいうの好きじゃなかったでしょ」
と聞いてみると
「知らんふりしとるよ。好きな人もいるからね。それは言われん」
と、ぜんぜん「ばかじゃない」返事が返ってきました。
しかし、これで感心していてはいけません。
母は、ある日はこういう風に、とてももののわかったことを言うのですが、別の日には、こういうのは下品で田舎臭くて嫌い、などと、おもいっきりまっこうから言い放ったりするからです。
これはボケてなくてもそうでした。
そういう人なのです。
とりあえず、今日はあまりおトイレのことを気にしたりせず、お掃除をしてました。
「おばあちゃんが来ると、すごく掃除がはかどる。ちゃんとしようとするの。不思議だね」
なんて言いながら、今日は、Amazonプライムで、「巴里のアメリカ人」をつけてみました。
この前、原節子に反応したので、ではこれはどうかな?と思ったのです。
クラシックなハリウッド映画を好きなお友達が、「雨に唄えば」が大好きで、いつもかけると言っていたのですが、わたしは断然、「巴里のアメリカ人」です。
父も母も、この映画がすごく好きでした。
母が、ヒロイン役のレスリー・キャロンに似ているとよく人に言われたと言ってました。
美人ではないんです。ちょっとお口がつんと咎って前に出ています。
でも、こいう溌剌として輝くような感じだったんだろうなあと思います。
しかし残念ながら、母はいっさいテレビ画面を見ようとしません。
くるみくんを見て、びっくりして
「誰かそこにおるよ!」
と言ったり、次に見た時にはニコニコして
「おおきゅうなったね」
、と言ったり、色々です。
あちこち家事をしていたら、おりばがないわという感じで少ししょんぼりしてました。
今日はあんまりパンも食べてくれません。
私も今日に備えてあちこちパン屋を回ったのですが、いい感じのパンがなくて残念でした。
かといって、家事をしないわけにもいかないのでぱたぱたして、洗濯物を干しにベランダに出ました。
一人にして大丈夫かな。
ベランダからうかがってみると、何とおばあちゃん、テレビの画面をじーーーっと見ています。
身を乗り出して見ています。
私がベランダから戻ると、テレビ画面を指でさしました。
「レスリー・キャロン」
と言ってみました。
「思い出した?」
うんうん、とうなずきます。
おばあちゃん!巴里のアメリカ人、思い出した!
たぶん、題名や女優の名前は憶えてないのですけど、記憶のどこかに残っていたんだと思います。
原節子はさすがだと思ったけど、こっちも覚えててくれて嬉しいなあ。
帰り道で、車を運転しながら言いました。
「お母さん、自分はばかやから、なんて言うけどさ、そりゃ細かいことは忘れちゃうけど、でもね覚えてるんだよ。やっぱり、どっかで絶対わかってるんだよ。肝心なことはちゃんと」
母はわかったのかわからなかったのかわかりませんが、
「ありがと」
と言いました。
そして、トイレはしませんでした。
まさかと思うけど、気を使ってるのではないだろうなあ。
今度こそ、好みそうなパンを買っておきたいと思います。
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